現場教員から見た通信大学で教員免許を取得した教員 社会人経験は教育現場でとても役に立つ

現場教員から見た通信大学で教員免許を取得した教員 社会人経験は教育現場でとても役に立つ
現場教員から見た通信大学で教員免許を取得した教員 社会人経験は教育現場でとても役に立つ
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今回、現役で小学校で働く教員より、通信大学について、そして当サイトについてのご意見をいただくことができました。

主な内容としては「通信制大学で教員免許を取得した場合と、一般的な大学で教員免許を取得した場合において、教育現場では何か違いがあるのか?」という点です。

おそらく通信教育で教員免許取得を目指す人にとって一番気になることだと思います。これから通信教育で教員免許を取得し先生になりたいと考えている人は、是非参考にしてみてください。

通信制卒業と学部卒業の違い

通信制卒業と学部卒業の違い

結論から言えば、現場での通信制卒業と大学卒業では大きな差はありません。普段、ともに仕事をしていくときに、「どこの大学を出たか」ということが問題になることはありません。仕事が遅い、歩調を合わせられないという方がよほど大きな問題です。

小学校教師では研修を行うときに担当教科が聞かれます。大学では小学校と中学校の免許を同時に取得することが多く、その時に中学の教科と同じ小学校の教科内容も少し専門的に学びます。

そのため小学校教師の間でも、「専門教科は?」という質問ができてます。ただ、これもあいさつ代わりのものでしかなく、大学の専攻教科と教員になってから研修を深めていく教科が違う先生も多くいます。ですので、聞かれても気にせず、「ありません」と答えればいいのです。

学部卒業の先生でも教師として力をつけていくのは教師になってからの経験・研修によるところの方が圧倒的に大きいです。裏を返せば、通信制卒業でスタート時点では多少の差があっても、長い目で見ればその差はあってないようなものです。大切なのは、教員になってから、自分がどんなことを経験し、研修を積んでいくかということです。

社会人経験は大きな武器

社会人経験は大きな武器

社会人経験者であることは、教員という立場になったとき、大きなメリットを持っていると思います。新規採用教員のほとんどは、大学卒業後ストレートで教員になるか、あるいは数年の講師経験を経て教員になります。講師の教員もそれ以前の経歴を見てみると、次のような方たちがほとんどです。

  1. 教員採用試験で不合格となってしまい、教員採用試験を目指しながら現場経験を積む人。
  2. 正規教員を一度退職し、もう一度教壇に立ちたいと思い、講師を選んだ人。

このような人たちがほとんどで、社会人経験者で教員になることを望んでいるが、正規採用をあきらめ、ずっと講師でいるというケースの人はまずいません。

つまり正規教員だけでなく、講師を含めても、社会人経験を持った人が少ないという現状があります。

一方で、教員の目的は端的にいえば、子どもたちに自立した生活を送れる力をつけることにあります。この「自立」いう言葉は生活習慣だけでなく、人間関係や社会参画などとても広い範囲を意味します。社会参画の中には当然、職業従事や市民生活も含まれてきます。学校での教育活動はそういった広い範囲のことまで指導することを求められているのです。

そこに社会人経験のほとんどない、あるいは一面的な経験しかない教員にとってギャップがあり、多くの教員が一度は悩むところです。そのため、社会人の経験を持っていることは、それだけで他の教員と比べても、大きなアドバンテージを持っていることになります。

発信型教育の充実を求められるが経験者が少ない

たとえば、小学校では今、文章を書いたり、スピーチをしたりなど、発信型の教育活動の充実が求められています。

子どもたちに何かを伝えるとき、より具体的な状況と一緒に伝えることはとても大切です。仕事を始めたとき、お客に商品の良さを伝えなければならないこと。プロジェクトを立ち上げたとき、メンバーと企画について話し合わなければならないこと。さらに言えば、そのような時の自分の経験や感想なども添えられるとより伝わりやすくなります。

しかし、その社会人経験のない教員では、自分の言葉を発信することが求められる状況やその時の経験などを語ることは当然難しいものです。

教育現場は変化がしにくい 一般社会の流れについていけないことも

また、教育現場は変化しづらい部分を持っています。それは、子どもたちにとって学びやすいような環境を整備しようという意図が働いていて、学校ごとに時間割や学校行事はもちろん、休み時間の過ごし方や持ち物まで細かくルールが作られます。そのような環境整備のおかげで、子どもたちは落ち着いて学校生活を送れるようになっています。

ですが、そのルールは次年度にも持ち越されるので、教育活動を計画するときに新しさよりも前例に合わせて行うことがとても多いのです。そこに現場レベルでの教育改革の遅さが生まれてきます。

一般社会の変化のスピードから考えると、圧倒的に変化が遅く非効率的です。どこが非効率なのか、どうすれば効率を上げられるのか、効率を上げるためにどんなツールがあるのか、一般社会の流れを読み切れていないので、具体的な道筋が分からず多くの教員は非効率であることに気づきながらも変えられずにいます。そういった現状を抱えているので、一般企業の経験は教育現場にとってとても貴重なものとなります。

社会人経験は学級運営に役に立つ

学級経営の点からも、校内の教育体制の中でも社会人経験は有益です。最初は教育現場に慣れることに四苦八苦すると思いますが、自身の経験を生かす場は必ずあります。

経験年数と年齢 大きな差が生まれることも

社会人経験者の場合、出身大学や免許取得方法による違いは実質ないと言えます。ですが、採用年齢が高くなることによるデメリットもあります。それは、「経験年数」の問題です。

上でも書いたように、社会人経験者はストレート採用者にはない社会人経験をもっているため、その経験を武器として活かすことができます。ですが、教員の「経験年数」には、大きな差が生まれてきてしまいます。

ストレート採用者であれば、60歳の定年まで最長38年間の勤務経験を積むことになります。その中で、様々な子どもたちと出会い、様々な活動や問題に直面し、乗り越えてくることになります。そこで得た多くの経験は、校長・教頭などの管理職になったときにも活きてきます。

ところが社会人経験者の場合、定年までの経験年数はストレート採用者に比べて、どうしても短くなってしまいます。たとえば40歳の二人の教員がいて、一人はストレート採用、もう一人は30歳で採用だった場合、ストレート採用者は40歳時点で17年の経験を積んでいるのに対し、社会人経験者はまだ10年しか経験を積んでいないことになります。

現場経験の違いで管理職の道に影響が出ることも

現在の学校組織では、40歳前後から徐々に責任あるポストについていくような流れになっています。それは、将来校長など管理職になることを考え、管理職としての経験を積むために、40歳前後からそれに向けた人事が行われてきます。そしてその年齢は、少しずつ前倒しされてきていて、35歳前後でも責任あるポストを任されることも増えてきました。

そのため、その40歳前後の時点で7年分の経験差があることはとても大きいです。30歳の時に採用された人の場合、17年分の経験を積んだ時には、もう47歳になるので、そこから責任あるポストを任され始めたとしても、管理職までになる前に定年を迎えてしまう可能性があるのです。

どれほど指導力を持っていて、子どもたちにも慕われる人間性を持っていたとしても、「経験年数」という壁はなかなか飛び越えることが難しいのが現状です。

一生現場主義のストレート採用者も少なくない

一生現場主義のストレート採用者も少なくない

もし将来、管理職を目指すということであれば、早い段階で通信教育で教員免許を取り、採用試験に合格し、現場に活躍し始めた方がよいでしょう。

ただし、ストレート採用者の中にも管理職を目指さない人もいます。管理職になるということはある意味出世コースという見方もありますが、クラス担任から外れるようになります。つまり子どもたちと深く関わることができなくなってしまうのです。

そのため敢えて管理職を目指さないストレート採用者も少なくありません。

現在社会人で、通信教育を利用して教員免許を取得しようと考えている方は、よく考えてみてください。

将来管理職を目指したいと考えているのなら、早めにその道を選択したほうがよいかもしれません。もしずっと現場でクラス担任として活動していきたいと考えているのなら、何歳から教員を目指してもよいかと思います。

ただしなのですが、現在40歳前後の教員の数は非常に少ないと言われています。そのため、若い先生が重要なポストに就くことも珍しくない状況です。そのため、社会人経験が買われ、年齢を重ねた後に採用になったとしてももしかしたら管理職の道に進めることもあるかもしれません。

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