一人ひとりに合わせて学びを調整する考え方
個別最適な学びは、子どもの理解の程度や特性、興味・関心に応じて、学び方を調整していく考え方です。
令和3年の中央教育審議会答申では、個別最適な学びが「指導の個別化」と「学習の個性化」に整理されています。
そして児童生徒が自己調整しながら学習を進めていくことができるよう指導することの重要性が指摘されています(出典:文部科学省育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び)。
「指導の個別化」とは
指導の個別化は、一定の目標をすべての子どもが達成することを目指し、一人ひとりに応じて異なる方法などで学習を進めることです(出典:文部科学省育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び)。
目標は全員共通です。そこへ至る道筋を子どもに合わせて変えます。
たとえば計算につまずいている子には、より重点的な指導を行います。理解が早い子には別の教材を渡します。学習にかける時間の配分を変えることもあります。
文部科学省の資料では、その中で子ども自身が、自らの特徴やどのように学習を進めることが効果的であるかを学んでいくことなども含むとされています。
「学習の個性化」とは
学習の個性化は、一人ひとりの興味・関心等に応じた異なる目標に向けて、学習を深め、広げることを意味します(出典:文部科学省育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び)。
こちらは目標そのものが子どもによって変わります。
たとえば環境について調べる学習で、ある子はごみ問題を、別の子は水質を選ぶ。それぞれが自分の関心に沿って深めていきます。
文部科学省の資料では、その中で子ども自身が、自らどのような方向性で学習を進めていったらよいかを考えていくことなども含むとされています。
「個に応じた指導」との関係
指導の個別化と学習の個性化を学習者の視点から整理した概念が「個別最適な学び」です。これを教師の視点から整理した概念が「個に応じた指導」だと説明されています(出典:文部科学省育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び)。
同じことを、子どもの側から見るか、教師の側から見るかの違いです。学習指導要領の総則では「児童(生徒)の発達の支援」の項目で、個に応じた指導の充実を図ることが示されています。
一人で学ばせることではない
「個別」という言葉から、子どもをバラバラに座らせて黙々と取り組ませることだと受け取られがちです。しかし、そうではありません。
文部科学省は、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させることを求めています(出典:文部科学省「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実)。一人で考える時間と、他者と考えを出し合う時間の両方が必要だという考え方です。
採用試験では二つの言葉を必ず出す
「一人ひとりに合わせる学びです」だけでは足りません。「指導の個別化」と「学習の個性化」という二つの言葉を挙げ、それぞれを短く説明します。
指導の個別化は目標が共通で方法が変わる。学習の個性化は目標そのものが変わる。この違いを言えると理解の深さが伝わります。
さらに「協働的な学びと一体的に充実させます」と付け加えます。バラバラに学ばせることではないと理解している点が示せます。
教師の仕事は減らない
全員に同じ説明をする時間は減ります。しかし、誰がどこでつまずいているかを把握し、それぞれに手を打つ手間は増えます。
前に立って全体を進める役から、一人ひとりを見て支える役に変わる。そう考えるほうが実態に近いかもしれません。


