通信教育を利用することで、教員免許や資格を取得することができます。実際に私自身も、通信教育を利用して小学校の教員免許を取得しました。
ここでいう「通信教育」とは、「通信制の大学で勉強をすること」のことをいいます。
通信制大学というのは、大学で行われる勉強を在宅で行い単位を修得していくものです。修得できる単位は一般的な大学と同じものです。
そのため、通信制大学で卒業すれば大学卒業資格を得られますし、通信制大学で教員免許を取得すれば学校で教員として働くことができます。
通信教育とは通信制の大学で勉強すること
まず簡単に通信大学についてお話ししていきます。
「通信教育」という言葉は聞いたことがある人も多いでしょう。大学の中には通信教育を扱っている大学があります。
それが「通信大学」です。
一般的な大学の場合は、大学に通学し授業に参加し勉強していきます。
通信大学の場合は、自分で勉強していくことになります。
通信大学での勉強方法
通信大学で勉強する方法としては、「送られてきた教材を自分で勉強し、与えられた課題に対してレポートを作成すること」+「試験に合格すること」が基本となります。
そしてレポートと試験に合格することで単位を得ることができます。
通信大学で免許取得に必要な単位を取得していく
通信大学で教員免許を取得するためには、教員免許に必要な単位を修得する必要があります。
日本国内には複数の通信大学があります。そしてそれらの通信大学では、さまざまな教員免許を取得することができます。
教員免許に必要な単位を修得すれば教員免許状を得ることができます。
そして教員免許状が取れたら目的は達成されたため、通信大学は退学することになります。
通信大学での単位の修得方法 レポートと試験+スクーリング
通信大学で単位を取得する方法は主に3つとなります。
- レポート
- 試験
- スクーリング
基本的には、「レポートに合格+試験に合格」で単位を修得することができます。
「目的とする免許状を取得するためにはどの科目の単位を取る必要がある」
というのは通信大学に入学するとわかります。
必要な単位を修得するために、レポートと試験を繰り返していく感じとなります。
そして教員免許を取得するために必要な単位を修得することができると、教育委員会に申請することにより教員免許を受け取ることができるのです。
このように大学に直接足を運ばなくても、大学の勉強をすることができます。
この方法を利用すれば、社会人になり仕事をしながらでも教員免許を取ることができるのです。そして実際にそういった人たちは多く、私もその中の一人でした。
私が通信大学で教員免許を取得したのは、大学を卒業してから3年後のことです。
参照 大学卒業後に教員免許を取得 社会人になり先生になりたいと思った
教員免許を取得するために必要な単位数
教員免許を取得するために必要な単位数は決められています。
「基礎資格+合計単位数」を修得することで教員免許を得られます。
以下は、文部科学省で公表している数字です。
免許の種類 | 所要資格 | 基礎資格 | 合計 |
---|---|---|---|
小学校教諭 | 専修免許状 | 修士の学位 | 91 |
一種免許状 | 学士の学位 | 67 | |
二種免許状 | 短期大学士の学位 | 45 | |
中学校教諭 | 専修免許状 | 修士の学位 | 91 |
一種免許状 | 学士の学位 | 67 | |
二種免許状 | 短期大学士の学位 | 43 | |
高等学校教諭 | 専修免許状 | 修士の学位 | 91 |
一種免許状 | 学士の学位 | 67 |
小学校の教員免許を取る場合 基礎資格+45単位~91単位
たとえば小学校の教員免許を取る場合で説明します。
- 専修・・・基礎資格(修士の学位)+91単位(教職に関わる単位)
- 一種・・・基礎資格(学士の学位)+67単位(教職に関わる単位)
- 二種・・・基礎資格(短期大学士の学位)+45単位(教職に関わる単位)
多くの教員が持っている免許は「一種」です。
もし一種免許状を目指すのであれば、大学卒業資格+67単位が必要ということになります。
すでに大学を卒業している場合
既に大学を卒業している人は、学士の学位を持っています。
そのため二種を得るためには教職に関わる単位を45単位、一種を得るためには教職に関わる単位を67単位修得すれば、教員免許状を得ることができます。
この単位を通信大学で修得していくのです。
45単位~67単位であれば、2年前後で修得することが可能です。
そのため通信大学で教員免許が取れる最短期間は2年となっています。
通信大学での勉強は自宅学習が基本 単位を取得していくことが大事
通信大学での勉強は自宅学習が基本となります。大学で勉強するわけではありません。
通信大学より配布されたテキストに沿って自宅で学習をします。そして各教科ごとに課題があり、課題に沿ってレポートを作成します。
レポートが完成したら大学へ提出します。
そして課題の試験があります。
レポートと試験の両方に合格することで、単位を修得することができます。
通信大学での勉強の最大のメリットは、自分の好きな時間に勉強することができることでしょう。
デメリットとしては、自分の管理は自分でしなければならないことでしょう。
大学卒業資格も取ることができる
通信大学では教員免許のほかに、さまざまな資格を取ることができます。
そのうちの1つが「大学卒業資格」です。
一般的な4年制大学を卒業すると「学士」を取得することができます。俗にいう「大卒資格」というものです。
これを通信大学でも取得することができるのです。
さらに通信大学院もあります。そのため「修士」も取ることが可能となっています。
参照 大卒資格の取れる通信大学
通学不要で大学卒業資格の取れる通信大学もある
通学を一切せずに、大学卒業資格の取れる通信大学もあります。
もちろん正規の大学卒業資格となります。
もし最終学歴を大学卒業としたい場合には、通信大学を利用するという方法があるということです。
通信大学の弱点 対面授業ではない+モチベーションの維持
通信大学にも弱点はあります。
通信大学の2つの弱点
- 対面授業でないため分らない点をすぐに先生に聞くことができない。
- 人で学習をし続けるため強い意志がないと続かない。
人によってはですが、この2つは勉強する上で大きなポイントとなるかもしれません。
自分で問題解決をしていく必要がある
小学校や中学校に通っていた時には、先生が授業をしてくれました。分からないことはすぐに先生に聞くことができました。
ところが通信大学はそうではありません。送られてくる教科書を読み、さらに参考となる本を図書館などで見つけて読み、そこから理解したことをレポート用紙にまとめ大学に送ります。それを繰り返していきます。
そのため分からないことをリアルタイムで解決することができないことが欠点に挙げられます。基本的に自分で解決していかなければなりません。
自己管理をしなければならない
基本的には一人で勉強をしていきます。
そのため自分自身をしっかりと管理できないと、途中で投げ出してしまいやすいかもしれません。
「通信大学の卒業率はあまり高くない」という話を耳にすることもありますが、これは内容が難しいというよりも、自分自身をしっかり管理できなくて続けていけない人が多いのではないかと思うのです。
周りに同じ状況の人がいないのは意外と難しい
モチベーションを保ち続けるというのも難しさの1つです。
小学校や中学校、高校などは、学校に通っていれば周りに同じ状況の生徒がいます。周りと同じ行動をしていれば何となくでもついていけたと思います。
ところが通信大学は自分一人で勉強するため、目の届く範囲に同じ状況の人がいるわけではありません。
- 自分のしていることは合っているのか
- 他の人はどのように勉強しているのか
など不安になってしまうこともあります。
また自分で勉強する時間を決められるということは、勉強しない時間も決められるということです。
通信大学最大のメリットの「自由」が、ときにデメリットとなってしまい、モチベーションの維持ができなくなってしまう人もいるようです。
ちなみに私の場合は、ゆっくり自分のペースで勉強を進めました。
スクーリングでモチベーション回復
ただし「スクーリング」を利用すると、夏休みや冬休み、週末などに大学に行き授業を受けることができます。
つまり通常の大学生と同じように「対面授業」を受けることができるのです。
その際には、他の通信大学性が集まってきます。ここで情報交換をすることもできますし、何より他にも自分と同じ境遇の人間がいるということが認識でき、モチベーションを保つことができます。
日本における通信大学の歴史
通信大学で通信教育が始まったのは1947年のことです。年々受講者数は増加しています。人気の秘密は仕事をしながら自分のペースで勉強ができるということです。年齢層も幅広く社会人・主婦・その他、定年退職をした人などから支持されています。
通信教育は学校教育法(第54条の二および第69条の二)に定められた正規の高等教育課程です。文部科学省の認可した大学・短期大学にのみ設置されています。
つまり普通の大学と変わりありません。ほとんどの通信大学はメインキャンパスを設置しています。そして昼間の間は普通に学生が通い授業を受けています。
通信大学で取得できる免許や資格は同じもの
「通信大学の通信教育で取得した免許や資格は、一般の大学で取得したものと一緒?」
よくこのような質問を受けますが全く同じものです。さらに優劣はありません。
たとえばこれにより教員採用試験の合否に影響が出るかというとそういったこともありません。これは実際に試験管をしていた先生に聞きました。
さらに教育現場では、通信教育で教員免許を取得した先生が何人も働いていますし、中には学年主任を務めている先生もいます。
取得できる教員免許一覧
通信大学ではさまざまな教員免許や資格を取ることができます。たとえば以下の教員免許を取得することが可能です。
見てわかる通り、ほぼすべての教員免許を取ることが可能となっています。
E-ラーニングの導入が増加
最近の通信大学では「e-ラーニング」が導入が広まってきました。E-ラーニングとはインターネットを利用して学習することです。
たとえばこのサイト内でも紹介している「東京未来大学」では、全てとは言いませんが、一部試験もパソコンから行うことができます。質問を行うこともできますし、専用の掲示板が用意されていて、情報交換もできます。
さらに成績確認もできます。また一部ではありますが、パソコンからスクーリングを受講することもできます。
このようにe-ラーニングを導入する通信大学は年々増加しています。
※追記 2014年3月11日
通信大学で教員免許を取った先生はかなり多い
通信大学で教員免許を取得した人はかなり多いです。学校現場でも何人も通信大学で教員免許を取得した人に出会いました。
学校の先生の多くは、教育学部のある大学を卒業と同時に教員免許を取得しています。しかし中には、一度社会人となり、その後、教員を目指した先生もいます。そういった人の多くは、通信大学で教員免許を取得しています。
実際に何人もあったことがある
ある学年主任の先生も、通信大学で教員免許を取得した人でした。
その他にも、元々中学の教員免許しか持っていない人が、小学校の教員を目指すことがあります。小学校の教員免許を持っていないため、通信大学で小学校の教員免許を取るといったケースもあるのです。
共通して言えることは、ほとんどの人が働きながら免許を取得しているということです。そしてそれは決して珍しいことではありません。たとえば明星大学には5000人以上の通信大学生が在籍しています。その他の佛教大学には8000人の生徒が在籍しています。
参照 働きながら教員免許を取得 社会人になってからも先生になれる
免許の取得方法よりもどのように活かすか
学校で働いていると「あなたはどこで教員免許取ったの?」なんて話にはなりません。なったとしても「ああ、そうなんだ」程度で終わります。
私の場合は「専門教科は何?」と何度か聞かれたことはあります。その度に「通信大学で教員免許取ったので、専門ってないんですよ。」と答えていました。すると「通信大学って専門ないんだね。」で会話は終わります。
つまり教員免許の取得方法は、教育現場においてはどうでもよい話なのです。そもそもきちんと認められた資格であるため、一般の先生が否定するものでもありません。
問題は、「持っている教員免許を活かし、どのように子どもたちに指導をすることができるか。」ということです。何よりもこれが一番大切なことです。
個人的な意見ですが、一度社会人経験のある教員は、生徒を指導する面では非常に強いと思います。多くの先生は社会人経験がないためです。ですから正直、一般的な会社のルールをあまり知らない先生もいます。そういった面でも、社会人経験のある人が教員となるのは、ある意味貴重なことなのです。
参照 先生になりたい人必見!学校の先生になるために必要な2つこと
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