現代の子どもや若者に特徴的なのは、人とかかわる体験の乏しさ、それによる人間関係力の衰弱である。自分がつかみきれないことによる焦りや不安、そして得体の知れない他人に対する不安や恐れは、引きこもり傾向や他人に対する攻撃的な反応を生む。人とかかわる体験を積み重ねることにより、他人も自分も明確なかたちをとってくるのである。
現代の子どもや若者の人間関係力が衰弱する原因として、幼時以来の遊び時間の少なさ、自由に遊べる場の乏しさ、小人数での室内遊びの多さ、コンピュータ・ゲームの自己中心的世界への耽溺、異年齢集団での遊び体験の欠如、希薄な近所づきあいなど、生育環境の問題がある。自分そして他人を得体のしれないものにしないためにも、幼時からの人とかかわる体験の豊富化が必要である。