児童・生徒一人ひとりの学力や能力、個性を育成するために、児童・生徒の実態に対応して個別に指導すること。広義には、画一的な一斉指導に対して、児童・生徒の個人差に応じた指導をいい、狭義には、児童・生徒一人ひとりの個性的な能力・特性に対応する学習内容と方法を工夫した、個別学習における指導を指す。個人差に応じた習熟度別学習指導を含めることもある。
一斉授業が普及する以前の教育では個人別の指導が普通であったが、そうした方式では、教師が相対する学習者個人以外の集団の学習状態に目が届かず非効率であった。そこで、19世紀後半に欧米諸国や日本においてスタートした義務教育では、一斉授業の方式が普及したのである。
しかし、20世紀初頭には早くも一斉授業の画一性や硬直性が批判の対象となり、ウィネトカ・システムやドルトン・プランなどの新しい改革案のもとで個別学習が盛んに試みられることになった。学校教育の情報化の先駆けとなったCAIでも、プログラム学習などによる学習の個別化が追究されたことは記憶に新しい。
最近では、学級崩壊やいじめなどの問題行動の原因を学級制にもとめ、そのストレスから解放するために個人別学習に取り組む例もある。