新学習指導要領と学校週五日制の完全実施を契機に、児童・生徒の学力低下を危惧する意見が世論をにぎわせている。
教科内容を3割削減し、小学校六年生では理科・社会よりも多くの時間があてられる「総合的な学習の時間」を、問題視する意見も根強い。総合的な学習は第4の領域として純然たる教科経営の範疇からははずれるが、本来の趣旨では教科横断的性格を有しており、横断する各教科の指導と有機的に結び付けることで時間数の短縮につながり、何よりも児童・生徒の学習意欲が高まることが期待できるはずである。
しかし、理想論としては成り立つとしても、実際に計画するとなれば、教科単独で年間指導計画を立てるのと比べて膨大な作業量が必要とされる。
教科担任制をとる中・高等学校が総合的な学習に消極的なのは、教科間の有機的連携が困難なこともその一因である。こうした事情を背景に、総合的な学習の一部を習熟度別のドリル学習や読書指導に充てたり、教科担任制や習熟度別指導などを取り入れて削減された教科指導の時間を有効活用したりする実践例が、しきりに紹介されるようになった。
学力低下問題は、教科経営の効率化を促す大きな刺激となっている。