「小学校設置基準」と「中学校設置基準」は、2002年4月に文部科学省令として施行された。規制緩和を指向する政策動向のなかで、教育改革国民会議や総合規制改革会議では、義務教育段階における私立学校等の設置を促進すべきとの議論が進められた。そうした趨勢のもとで、多様な教育理念をもつ設置者がさまざまな学校を設置することを可能にする最低基準として、小学校および中学校の設置基準が初めて制定された。
小学校設置基準第一条では、「小学校の設置者は、小学校の編制、施設、設備等がこの省令で定める設置基準より低下した状態にならないようにすることはもとより、これらの水準の向上を図ることに努めなければならない」と規定している。
そして、「小学校は、その教育水準の向上を図り、当該小学校の目的を実現するため、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するよう努めるものとする」(第二条第一項)、「前項の点検及び評価を行うに当たっては、同項の趣旨に即し適切な項目を設定して行うものとする」(同条第二項)という規定を設けて「自己評価」を努力義務としている。
また「小学校は、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について、保護者等に対して積極的に情報を提供するものとする」(第三条)として、学校運営に関する情報の積極的な提供を促している(いずれも中学校に共通)。
それぞれの学校が、自らの教育活動を継続的に改善するための営みをつくっていくことが制度として明示されたものといえよう。