学級において規律や秩序が失われ、学級担任の指導性や権威が子ども達によって否定される状態をさす。平成12年5月、いわゆる『学級崩壊』を取り上げた、文部省より委託を受けた国立教育研究所の学級経営研究会による『学級経営をめぐる問題の現状とその対応―関係者間の信頼と連携による魅力ある学級づくり―』(最終報告書)は、「学級がうまく機能しない状況」という用語を用い、それについて、「集団教育という学校の機能が成立しない学級の状態」と説明している。
学級経営研究会の報告書は学級について次のように述べている。「学級は様々なうごめきや混沌とした状況をくぐり抜けながら、個人も集団もそれぞれの課題を発見し、成長するための契機をつかむ場であります。
その意味では、学級はもともと『形』のあるものではなく、4月から始まる1年間、授業や集団活動など多様な活動を通して新しくつくられるものです。その意図的・計画的な営みが学級経営と呼ばれるものです」と。
そして、学級経営について、「新たな生活・学習集団として設けられた学級という場に、その学級に固有の秩序をつくり上げていく息の長い取り組み」であると述べている。
この報告書では、「学級は生活や学習の集団的基盤」といった文言にみられるように、生活と学習の一体化をはかる場として学級をとらえる伝統的な学級観が踏襲されている。
そして、「学級がうまく機能しない状況」とは「集団教育という学校の機能が成立しない学級の状態」をさすのであって、校内の連携・協力や周囲からの支援や助言によって学級経営に柔軟性を取り戻すことが、その克服につながると指摘する。