学習や生活することを目的に編成される集団を総称していわれ、学級がこの両者を兼ね備えた集団として長く存在してきた。これに対して、これからの学級の在り方を展望するにあたって、平成12年に5月に当時の文部省より公表された、教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議『今後の学級編制及び教職員配置について(報告)』は無視できないものがある。
この報告は、生活集団としての機能を重視する学級を提起しており、学級について次のように述べている。すなわち、「学級は生徒指導や学校生活の場である生活集団としての機能を主とするものと位置づけ、学習集団は学級単位で学習指導が行われる場合が多いとしても、児童生徒の状況や教科等の特性に応じて多様な学習指導の場が設定できるものであり、学級にとらわれないものとして整理することが適当である」と。
この報告書は、明治以来継承してきた伝統的な学級観の転換を求めたものである。すなわち、学習集団と生活集団の両機能を一元的に果たしてきた学級について、学習集団については形態の多様化をはかり、生活集団については学級を重視するとして、学習指導と生徒指導に機能を分化させる考えを提起しているのである。
学級経営は長く教室における学習と生活の統合をめざす営みとしてとらえられてきた。学習集団と生活集団との関係をいかにとらえ、これからの学級経営の在り方を探っていくか、新たな展開が必要になってきた。