1970年代~1980年代、学校ごとの教育成果の違いが何によって生み出されるかを主要な課題として、アメリカにおいて取り組まれた諸研究の呼称である。大都市部の貧困階層が多く住む地域の公立小学校のうち、中流階層地域の学校と同程度の学力を保証できている学校を対象として事例調査を積み上げていった結果、それらの学校の内部組織要因における共通性が浮かび上がった。
すなわち、
(1)校長(管理職)の強いリーダーシップ
(2)子どもへの期待に満ちた風土
(3)教授活動に対する促進的な風土
(4)子どもの基礎的なスキルの獲得を明確に打ち出していること
(5)子どもの到達度をモニターするさまざまな手段をもっていること
などである。
こうした研究成果は、個々の学校内部においてどのような組織運営がなされるかによって、学校の教育成果は大きな違いを生み出しうる、ということを実証した。また、そうした組織的要因のなかで、「風土」や「期待」などにみられるような、組織成員どうしの間に形成されている目に見えない文化的要因が重要な鍵を握っている、ということに目を向けた点も注目される。
1980年代後半以降、アメリカで展開されてきた学校裁量権限拡大施策は、この研究を理論的基盤としている。