「生きる力」は、「自ら学び、自ら考え、自ら行動して問題を解決する資質や能力」「他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性」として解されている。それは、現在の文部科学省の教育改革のスローガンであり、2002年度新学習指導要領ではこの「生きる力」を育成することを目的に、教育内容の厳選や総合的な学習の時間の創設などが規定されている。
一方で、家庭や地域社会において体験活動などの機会を拡充するいろいろな取り組みも、大きくはこの「生きる力」を伸ばすことを目的に実施されているといえよう。 「生きる力」は本来、家庭や地域の中で子どもたちが自然に身につけていくものである。
そこに敢えて学校が積極的に介入するということには、家庭や地域の教育力の減退という現実的な背景があることはいうまでもない。しかし、学校週五日制下での子どもたちの「受け皿」の問題や、教育内容の厳選と授業時数カットによる学力低下の危惧など、子どもに「生きる力」を育成する上で多くの課題が見られるのも確かである。