社会人が働きながら教員免許を取得する方法は主に2つあります。
- 通信大学
- 教員資格認定試験
このほかにも方法はありますが、最も現実的なのが「通信大学」です。
私自身も社会人として働きながら通信大学で教員免許を取得しました。
社会人が教員免許を取るための4つの選択肢
社会人が教員免許を取る選択肢として以下の4つがあります。
- 通信大学
- 一般の大学
- 教員資格認定試験
- 教育職員検定
この中で働く社会人のほとんどが選ぶのが「通信大学」です。
通信大学が選ばれる主な理由は以下の通りです。
- 好きな時間に勉強できる
- 好きなところで勉強できる
- 授業へ出席する必要がない
- 学費が安い
通信大学以外は現実的ではない
通信大学以外でも教員免許を取ることは可能です。ただし働きながらの社会人にとってはハードルが高くなることでしょう。
たとえば一般の大学に入学するという方法です。しかし昼間の授業に出席する必要があり働きながらでは出席日数を確保することは困難でしょう。
教員資格認定試験でも教員免許を取ることは可能です。しかし一発試験とも呼ばれ難易度が非常に高いです。さらに幼稚園教員、小学校教員、特別支援学校教員の3つの教員免許しか取ることができません。
さらに教育職員検定をパスすることで学校で働くことも可能です。しかし何かしらの分野で高いスキルを持っている必要があります。
このような点から現実的に働きながら教員免許を取るのであれば通信大学を選ぶことがほとんどでしょう。
教員資格認定試験は難易度が高すぎる 免許も限定的
教員資格認定試験という試験に合格することができれば、一発で教員免許を取得することができます。
しかし合格率は10%~20%と非常に低く教員採用試験よりも難しいという話もあります。さらに1年に1度しかありません。
また取得できる教員免許が、幼稚園教員、小学校教員、特別支援学校教員の3つしか取得できないのです。
総合的に考えると通信大学で勉強したほうが現実的であると思います。
教育職員検定 高いスキルが必要
教育職員検定に合格して教員免許(特別免許状・臨時免許状)を取得する方法もあります。
特別免許状の場合、専門的な知識や技能、社会的な信用が必要となります。そのため何かしらの分野で大きな実績をあげていなければ対象になること自体難しいでしょう。
実際、1年間で200人程度しか与えられていません。
臨時免許状は例外的に授与される免許状であり、やはり教育職員検定に合格する必要があります。
特別非常勤講師
特別非常勤講師は学校教育の多様化の対応、活性化が目的とした制度です。免許状を持つわけではなく、その状態で教育に携わることになるためいため、ある程度の高い専門性やスキルなどが必要となることでしょう。
学校で働くことを目的とするなら、あまり現実的な選択肢とは言えません。
通信大学の教職課程とは 一般の大学とは異なる勉強方法
通信大学は一般的の大学と同じで文部科学省に認定されている教育機関です。
大きく異なる点は、「自宅で勉強するか、それとも大学で勉強するか」です。
文科省に認定されている大学
通信大学は文部科学省に認定されている大学です。
そのため通信大学で取得した教員免許は、一般の大学で取得した教員免許と同じものです。優劣はありません。
一般の大学と異なる点
通信大学と一般の大学の異なる点は、以下の通りです。
- 大学に通う必要がなく自宅学習が基本
- 教員免許に必要な単位だけを取得
- 最短2年で取得できる
- レポートを作成する
- オンラインで動画授業で学習
- 学費がかなり安い
- 入学試験がない
以上のことからも働きながらの社会人が教員免許を取る場合には、いくつかの選択肢の中でも通信大学を選ぶのが最も効率よいのです。
通信大学が優れている理由
教員免許の取得を考える社会人におススメしたい通信大学ですが、魅力をもう少し深堀してみたいと思います。
入学試験がない
通信大学には入学試験がありません。最終学歴が高校卒業以上であれば入学できます。
3年次編入学か科目等履修生
教員免許を取得するためには、教員免許に必要な単位を取得すればよいです。
人によって異なりますが、最終学歴が大学卒業以上である場合、通信大学では「3年次編入学」か「科目等履修生」として在籍することになるでしょう。
3年次編入 | 科目等履修生 |
---|---|
通信大学の3年生として在籍 | 学年がなく好きな科目のみ勉強 |
このどちらになるのかは、通信大学側で判断してくれます。
また最終学歴が高校卒業の場合には1年次入学となります。
最短2年で教員免許取得可能
通信大学では最短2年で教員免許を取得することができます。
その間にレポート作成+合格、科目試験の合格、教育実習、介護実習をすべてパスする必要があります。
私の場合はゆっくり勉強していたため、2年半かかりました・・・。
取得する教員免許は一種か二種
教員免許にはいくつか種類があります。
多くの学校教員が持っている教員免許は「普通教員免許状一種」です。しかし「普通教員免許状二種」でも学校で働くことは可能です。
教員免許を取っただけで教職に就けるわけではない
教員免許を取ったら2つの方法で先生になることができます。
- 教員採用試験を受験し合格
- 教育委員会に登録
公立学校の場合
公立学校(小学校・中学校・高等学校)で教員として働く場合には、主に2つの方法があります。
教員採用試験に合格するか、教育委員会で講師登録を行うかです。
教員採用試験を受験し合格 |
教育委員会に登録 |
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教員採用試験は毎年、各都道府県や政令指定都市など、自治体別で実施されています。
その試験に合格することで、正規教諭として登録されることになります。 多くの現場教員は、採用試験に合格して正規教諭として勤務しているのです。
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教育委員会に講師登録をすることで学校で働くことができます。
教員採用試験に合格しているわけではないため、正規教諭ではなく講師という身分となります。講師の仕事内容は基本的には正規教諭と同じですが、徐々に格差が生まれていきます。 一生教員として働いていくつもりがあれば、採用試験の合格を目指す方がよいでしょう。
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私立学校の場合
私立学校の採用試験は、それぞれの学校が独自に行います。
働きながら教員免許を取得するために サイト運営者の体験談
ここからは私が通信大学で2年半をかけて、小学校教員免許を取得したときに思ったことをお話ししていきたいと思います。
やる気と継続力が大事
まず結論から言うと、やる気と継続力は必要になると思います。
働きながらの勉強するということは時間の確保をする必要があるため、今までの生活スタイルを変える必要があります。
これが人によっては大変かもしれません。
決して簡単ではない それなりの覚悟は必要
人によって「簡単」の物差しが違うので一概に何とも言えませんが、働きながらの勉強は簡単ではないと思います。
私の場合は教員免許を取るまでに2年半かかりました。
ただしこの2年半が辛かったのか、そして大変だったのかというと、それほどでもありませんでした。自分のペースでレポートを作成し試験を受けていたという感じです。
具体的にどのくらいの時間勉強したのかというと、科目によってバラバラですので何ともいえません。
以下ではあくまでも概算ですが、私はこのくらい勉強した・・・と思う時間数を紹介したいと思います。
ネット上の情報は当てにはならない
最後でもお話ししますが、ネット上にはいろいろな情報があります。
- 通信大学では簡単に免許や資格が取れる
- 通信大学では楽に大学卒業資格が得られる
先ほどもお話ししましたが、「人によります」。ちょっと勉強して何とかなるものではありません。
これからお話ししますが、「教員免許を取るためには19科目44単位+教育実習5単位」が必要となります。
正確な数字は覚えていないのですが、約50個~80個のレポートを制作し、約20科目の試験に合格する必要があります。さらに教育実習と介護実習に参加し合格する必要があります。
そのため決して簡単ではありません。
とはいえなのですが、私自身はそれほど大変な思いをしたということはありませんでした。
勉強量を逆算してみる そんなに大変な思いはしていなかった
通信大学での勉強は決して簡単ではありません。しかし難しすぎるといったこともありませんでした。
1週間に1つ、もしくは2つのレポートを作成するペースでいけばよいでしょう。
ここからの話は私が通信大学で教員免許を取得した当時の話です。そのためハッキリ覚えていないこともありますし、今はシステムが変更になっている可能性もありますので、参考程度にしてください。
教員免許を取るためには19科目44単位+教育実習5単位
私の最終学歴は4年制大学卒業です。その状態から通信大学に入学しました。
そのため一般教養は勉強する必要がありませんでした。ただし一部の科目は単位互換ができず取得しなおしました。
その上で教員免許取得までに必要な単位数は「19科目44単位+教育実習5単位」でした。教育実習分を省いたとして44単位は取る必要がありました。
参照 通信大学の科目認定方法
1科目2つ~4つのレポート作成
2単位取得するのに必要なレポート数は2つ~4つとなります。レポートの数は科目によって異なります。
計算しやすいように2単位取得するために多く見積もりレポートが4つ必要と考えましょう。19科目あるため4×19=76本のレポートを作成することになります。
振り返ってみると結構な数ですね・・・。しかしここまでの数ではなかったと思います。
ただし2年間で76のレポートです。つまり1年で38本となります。そして繰り返しますが、1科目4つのレポート作成と多めに計算しているため実際にはもっと少なかったはずです。
1つのレポート作成時間は約4時間
私の場合はですが、1つのレポートを仕上げるのに必要とした時間は約4時間ほどでした。
前半 内容把握・下書き作成
レポートの課題をまず把握します。その後、教科書の中でそのことについて書いてある部分を流し読みします。そこに自分の意見を織り交ぜながら、パソコンに下書きをしていきます。文字数は約2000文字。
大体これで2時間半ほどです。
もし課題が難しく教科書でも解決できなければ、図書館で似たような本、もしくは同じ著者の本を探し教科書と対比しながら書きました。
レポート用紙に手書きで清書
下書きをパソコンに打ったら、今度はレポート用紙に手書きで書き写します。これにかかる時間が約1時間半。
単純に計算すると、1年で38本のレポートを作成するために必要な時間は38×4時間で152時間となります。
1日1時間勉強に費やせれば簡単にクリアできる数字ではあります。
そしてレポートは作成するだけではなく、提出し合格する必要があります。
試験にも合格する必要がある
通信大学で単位を取得するためには、レポートの合格も必要ですが試験にも合格する必要があります。
レポートと試験の両方に合格することで単位が認められることとなります。
試験の範囲はレポートで勉強した範囲が基本となりました。とはいえ、やはり不安ですので1科目当たり1時間程度は勉強しておきたいところです。
結論 余裕をもって勉強できるだけの量だと思う
ここまで概算ではありますが、教員免許を通信大学で取得するために必要となる勉強時間は以下の通りとなります。
19科目76本のレポート。1本のレポートを完成させるために約4時間。つまり76本のレポートを完成させるために必要な時間は304時間。
19科目の試験を受ける必要があるため、試験勉強のために1科目1時間勉強するとして19時間。
304時間+19時間で323時間。
私の場合、2年半で323時間となるため、1年間で約130時間ほどはレポート作成と試験勉強に時間を費やしたこととなります。
1ヶ月10時間弱。1週間で2時間程度となるでしょうか。
計算上はこのような結果になりましたが、実際にはもう少し勉強していました。それでも1週間に5時間~7時間ほどではないでしょうか?
つまり1日1時間勉強することもありましたし、週末にまとめて時間を割くこともありました。
いずれにせよ、「きつい、ダメだ、もうできない」ということはありませんでした。自分のペースで余裕をもって勉強できたと記憶しています。
通信大学は決して楽ではない いい加減な情報に注意してください
前述しましたが、通信大学の情報を掲載しているサイトはいくつかあります。その中には、通信大学経験者からすると明らかに誤っている情報が掲載されていることがあります。
情報が入り乱れている 集めた情報や想像でサイトを制作
通信大学での勉強について制作しているサイトは数多くあります。
その中には正しい情報のものから、そうではないものまであります。
よく見受けられるのは「簡単に免許や資格が取れる」や「楽に大学卒業資格が得られる」といったものです。
ここまでの私の話を見ていただければわかると思いますが、決して簡単ではありません。
社会人として働きながら、一定の勉強時間を確保し、それを最短でも2年間は続ける必要があります。一定の時間を確保するのも働きながらではなかなか大変なのに、それよりもさらに大変なことは「モチベーションを持ち続けなければならないこと」です。
「この免許を取る!」、「この資格を取る!」といった気持ちを2年間も継続させるのは、本当に難しいことです。
一昔前より取得しやすくはなったのは事実
確かに一昔前に比べると、通信大学での勉強はe-ラーニングの導入が広まってきたことにより勉強しやすくなったかもしれません。
参照 e-ラーニングとは
しかし一定の知識や技術を身につけなければならないことは変わっていません。
通信大学の難易度は絶対にわからない
「通信大学の難易度」について掲載しているサイトもあります。
ハッキリ言いますが、すべての通信大学で勉強したことがない限り難易度はわかりません。
おそらく公式サイトに掲載されている卒業率などを見て判断していると思うのですが、出ていない情報もたくさんあります。
教員免許取得率は公表されていない
たとえば私は教員免許を取得しましたが、教員免許取得率など掲載していません。また教員免許を取り終えたら卒業ではなく退学になるはずです。
そのため退学した中でも、免許や資格を取得した方がたくさんいます。
つまり数字の裏側は見えないということです。
そもそもですが、あまりにも免許や資格取得者が少ない通信大学が予算をかけてまで運営していると思いますか?
何年もかけしっかり勉強したのにもかかわらず、卒業できないのであればお金も時間も無駄にしてしまうこととなります。そんな通信大学を希望する人も減り、通信学部を維持できなくなってしまうことでしょう。
これは私の個人的な見解ではあるのですが、言いたいことはやはり数字の裏側は見えないということなのです。いずれにせよ、すべての通信大学で勉強した経験がない限り、「通信大学の難易度」というものはわかるはずがないのです。
e-ラーニングは便利だがモチベーションが保てるかが心配
e-ラーニングは「インターネット機器を利用して学習をすることができるシステム」です。つまりパソコンや携帯電話で録画授業を見ることができたりするものです。
そのため、通信大学に一度も行かずとも取得できる資格も出てきました。
大変便利だとは思うのですが、「大学に一度も行かない」というのは、通信大学経験者の私からしてみると「大きな弱点」でもあると思います。
通信大学に行って授業を受けることを「スクーリング」といいます。
スクーリングには同じ志を持った社会人が数多く集まってきて、一緒に授業を受けます。これにより刺激を受けることができモチベーションを保てるのです。
参照 スクーリング
もちろん強い意志を持っているのであれば、どのような状況でも関係なく勉強を続けることができると思います。
しっかりと自分で情報収集をしよう
インターネットで簡単にさまざまな情報が得られる時代です。通信大学の情報もすぐに得ることができます。
しかし誤った情報が拡散しているのも事実です。
間違いのない方法が、希望している通信大学の公式サイトで情報を得ること、または、資料請求をして情報を得る、さらには、直接大学に問い合わせて情報を得ることでしょう。
通信大学経験者の情報をインターネットで得るためには、「自分の意見がしっかり書かれているか」をチェックするようにしてください。
ただ通信大学の情報が掲載されているサイトは、経験者のサイトではない可能性が高いです。公式サイトから情報を収集して、ただ掲載しているだけです。
社会人が通信大学で勉強するための2つのコツ
まとめとなりますが、社会人が働きながら通信大学で勉強をするためのコツは2つだと思います。
- モチベーションを維持し続ける
- 計画的に勉強を進める
後は不確かな情報に惑わされないようにしてください。先述しましたが、インターネット上ではさまざまな通信大学関連の情報を見つけることができます。正しい情報の中に誤った情報もあります。
「あのサイトの情報を信用して通信大学には行ったけど、書いてあったこととは全然違った」
とならないよう、確かな情報を得るようにしましょう。そのためには通信大学の公式サイトや資料請求、直接大学に問い合わせるなどした方がよいと思います。
私でも働きながら通信大学で教員免許が取れました。それにより大きく人生は変わりました。ほんの少しの努力をするだけで、その先、大きなものを得られるようになると思います。