2024年末、文部科学大臣は中央教育審議会に対し、社会人を含め、多様な人が教職を目指しやすくするための教員免許制度や教職課程の見直しについて検討を求めました。
その後も検討は進み、2026年6月には「今後の教職課程や教員免許制度の在り方について(二次まとめ)」が公表され、さらに2026年8月には、介護等体験や教育実習、小学校教員免許で学ぶ教科などについて、より具体的な見直し案が示されています。
背景の1つには、深刻な教員不足があるのでしょう。
教員免許制度を時代に合わせて見直していくこと自体には私も賛成です。
ただし人手不足を解消するために「教員免許を取りやすくする」という方向だけに進むのであれば、少し違うのではないかとも思います。
教員不足には免許を取得するまでのハードルだけではなく、教員になった後の働き方や待遇、業務量など、さまざまな問題が関係しているためです。
ちなみに社会人になってから教員を目指すこと自体は、それほど珍しいことではありません。私自身も社会人になってから通信大学で小学校教員免許を取得し、その後、小学校で担任として勤務しました。
その経験も踏まえながら、今回の教員免許制度の見直しについて考えてみたいと思います。
なお2026年9月時点で示されている内容には、まだ検討段階のものも含まれています。現在の教員免許取得条件がすべて変更されたわけではありません。

2026年の二次まとめで教員免許制度の見直しが具体化
教員免許制度の見直しは、単に教員免許を取りやすくするという内容ではありません。
2026年6月の二次まとめでは、大学で学ぶ教職課程そのものを再構成し、教師として必要な共通能力とそれぞれの専門性を組み合わせる方向が示されています。専修免許状の取得促進や特別支援教育の充実なども含まれており、今後の教員養成全体に関わる内容となっています。
教職課程で学ぶ内容を再構成する
現在の教職課程では「各教科の指導法」と「各教科に関する専門的事項」などを学びます。
二次まとめではこれらをそれぞれ独立して学ぶだけではなく、指導法と専門的事項を一体的に学ぶ方向が示されました。
さらに教育方法・技術、デジタル学習基盤、多様な子どもへの理解、教師としての適応力や自己管理能力なども、今後の教職課程で重視する内容として挙げられています。
教師ごとの「強み専門性」を設ける方向
今回の見直しで特徴的なのが「強み専門性」という考え方です。
大学の学位課程と教職課程をより結びつけ、それぞれの学生が専門性を持った教師になることを目指すものです。
二次まとめでは、強み専門性に関する学修として20単位程度を想定しています。
ただし教育職員の種類によっては20単位以外とすることも想定されており、具体的な制度設計については今後さらに検討されます。
2026年8月にはさらに具体的な見直し案が示された
2026年8月25日の中央教育審議会教員養成部会では、教員免許制度や教職課程について、さらに具体的な見直し案が示されました。
たとえば小学校の基礎的な免許状では全10教科の学修を必修とすることや、介護等体験を教育実習の中に位置付けることなどが検討されています。
ただしこれらは、2026年9月時点で確定した制度ではありません。現在教員免許を取得している人は今の制度や大学の履修要項に従う必要があります。
専修免許状を取得しやすくする方向も示された
二次まとめでは、教師が最終的に専修免許状を目指す方向が示されています。
ただし現在一種免許状や二種免許状を持っている教員が直ちに専修免許状を取得しなければならなくなるという意味ではありません。専修免許状取得に必要な基礎資格や単位の修得方法については、現行制度から変更しない方向とされています。
大学院で直接専修免許状を取得する場合は、現在と同様に大学院で必要な単位を修得します。
一方すでに教員として勤務している人が免許状を上進する場合については、最低在職年数3年と15単位という要件を基本とする方向です。さらに一定以上の在職年数と実績を持つ教員については、必要単位を減らす仕組みも示されています。
たとえば最低在職年数を超えて勤務し、教員を指導する立場にあるなど一定の実績を持つ場合には、在職年数に応じて必要単位を減らす案が示されています。
これは現職教員が働きながら専修免許状を目指す際の負担を軽減する可能性があります。
特別支援教育はすべての教員免許で学修を充実する方向
特別な支援を必要とする子どもへの理解についても、教職課程の見直しが示されています。現在も教職課程で特別支援教育について学びますが、二次まとめでは、合理的配慮や基礎的環境整備などを含め、すべての免許において2単位以上学ぶ方向が示されています。
背景には、通常の学級にも特別な教育的支援を必要とする子どもが在籍していることがあります。
そのため、特別支援学校の教員だけではなく、小学校、中学校、高等学校などの教員にも、より具体的な特別支援教育の知識を求める方向となっています。
高等専門学校卒業者にも教員免許取得の道を広げる方向
二次まとめでは、高等専門学校卒業者など、準学士を持つ人も教員免許状を取得できるようにする方向が示されています。
これは教員免許を取得できる人の入口を広げる見直しの一つです。
ただし、2026年8月現在、この記載だけを根拠に「高専を卒業すれば現在すぐに教員免許を取得できる」と考えてはいけません。
二次まとめに示された制度見直しの方向であり、実際に教員免許を取得する場合には、その時点の教育職員免許法や大学の教職課程、都道府県教育委員会の案内を確認する必要があります。
社会人が通信大学で教員免許を取る方法がすぐ変わるわけではない
今回の二次まとめを見ると、教員免許制度は大きく見直される方向にあります。
ただしこれから通信大学へ入学しようとしている社会人が「制度が変わるまで待った方がよい」というものではありません。
現時点では、大学や通信大学の教職課程で必要な学位や単位を修得し、都道府県教育委員会へ申請して普通免許状を取得する方法が基本です。
またすでに教員免許状を持ち一定の条件を満たしている人には、免許法認定講習・公開講座・通信教育などを利用して、上位免許状や別の校種・教科の免許状を目指せる場合があります。
制度見直しについては、今後の法令改正や文部科学省の発表を確認していく必要があります。
参照 免許法認定講習とは 教員免許を上位・他校種へ広げる方法
ここからは今回の制度見直しについて、通信大学で教員免許を取得し実際に教育現場で勤務した立場から考えてみたいと思います。
教員不足の根本原因を解決しなければならない
教員不足の根本的な原因を解決しなければ、教員免許を取りやすくしたとしてもあまり効果はないでしょう。
つまり大きく傷ついた場所があり、本来であれば手術が必要なところをを、絆創膏で直そうとしているようなものです。
教員不足に陥っている原因
昨今、教員不足になっている原因として考えられるのは以下のようなものです。
- 長時間労働などの過酷な労働環境
- 部活顧問など本業以外の業務が多い
- 生活指導の必要な子どもが増えた
- 保護者や地域住民への対応が負担
- 教材研究ができないなど満足のいく授業ができない
- 待遇(給料)が良くない
- 教員の魅力が伝わっていない


これに関しては私もいろいろ思うところがあります。
私の意見としては、先生たちは「真面目過ぎる」という点です。


真面目なことは悪いことではありません。真面目過ぎるのです。
理想の先生像を追いすぎてしまう、または理想の先生像を追うように指導してしまうのです。
結果として真面目がゆえに理想通りにいかなかった結果、またはキャパオーバーをしてしまった結果、離職につながっていたりするのです。
教員免許は二種でよいと思う
教員免許は二種でよいと考えています。
段階的に取得していく
教員免許を取得するイメージとしては、まず二種(短期大学レベル)、そして一種(4年制大学レベル)。その先望むのであれば専修(大学院レベル)といった具合です。
たとえば小学校教諭の免許状を大学の教職課程で新たに取得する場合、現行制度では二種免許状は合計45単位、一種免許状は合計67単位が最低ラインとなります。
単位数だけを見ると22単位の差がありますが、「二種免許状を取った後に22単位追加すれば一種免許状へ上進できる」という意味ではありません。二種免許状取得後に在職経験を利用して一種免許状へ上進する場合には、別の取得条件があります。
4年制大学の教職課程では、学士の学位を基礎資格とする一種免許状を目指すケースが一般的です。そのため一種免許状を持って教員になる人は多くいます。。
ただし二種免許状で先生をしている人もいます。それで困ることはおそらくありません。
社会人専用教員免許でよい
二種と一種があるから、そして人によっては一種の方が優遇される(多少)ため、一種の取得を目指します。
社会人が働きながら勉強する場合には、一種の取得も大変です。
しかし二種であれば、かなり負担を減らし取得することはできるでしょう。
またそもそもですが、社会人経験があるのなら、免許を取得する際に必要な単位数をかなり減らしてもよいと思います。
なぜなら「勉強した内容は形式的なもの」であるためです。
教員免許取得に必要な単位は本当に役立つのか疑問
当サイト内でも触れていますが、教員免許を取得するために勉強した内容は、あまり現場では役に立ちません。
さらに教員採用試験でもほとんど役に立ちません。
※実際に通信大学で教員免許を取得した私の個人的な意見です。
どちらかというと必要なのは人間性です。とくに小学校の場合は。
中学校や高校の先生であれば、担当する教科について十分な知識は必要でしょう。あくまで私個人の感覚ですが、生徒が受けるレベルのテストであれば少なくとも9割程度は取れるくらいの理解が必要だと思います。
教える立場である以上、問題を解けるだけではなく、「なぜそうなるのか」を説明できる程度の理解は必要だからです。
単位を取るための勉強 覚えていない
大学でも通信大学でも、教員免許を取るためには必要な単位を修得する必要があります。
つまり単位を取るために勉強するだけであり、正直しばらくするとほとんど忘れてしまいます。
採用試験は全く違う
教員採用試験の内容は、教員免許を取得するために勉強した内容とは異なります。そのため専用の勉強が必要となります。
そもそもこれが問題だと思います。
免許を取るための勉強。採用試験に合格するための勉強。
このような2段階になっているため、教員不足といいながらハードルが高いのです。
教員不足解消のための方法
教員不足を解消させたいのであれば、以下のことが解決するとよいと思います。
- 職場環境の改善(定時に帰るのが当たり前、余計な会議の削除、休憩・休日の確保)
- 教員免許取得までの短縮化
- 社会人経験者のさらなる優遇
- いい意味で先生は不真面目に
これらが実現できれば、先生志望者は増えることでしょう。
とくに職場環境の改善については、どんなに簡単に先生になれたとしても、どんどん辞めていくだけです。
このあたりをよく考えたほうがよいと思います。
参照 社会人、教員へ転身しやすく 免許制度の見直し諮問(外部サイト)


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