今日、都道府県や市町村で制定・施行されている情報公開条例(公文書または行政文書)や個人情報保護条例を通して、教育病理現象に関する各種の統計資料、職員会議の会議録、体罰・学校事故などについての教育委員会への報告書、指導要録や内申書、あるいは入学試験における個人の得点などの情報が、請求者に公開されている。前者は「知る権利」に基づく請求であり、一般的には「情報公開」という名称で呼ばれる。後者は「プライバシーの権利」によるものであり、「個人情報の開示」といわれる。
近年では、民主的で透明な教育行政の推進という観点から、いくつかの自治体では、行政文書だけでなく、重要な個人情報として開示することを躊躇してきた内申書や指導要録についても、本人開示を前提として扱うようになり、全体的には開示の方向が目指されている。とはいえ、時にはこれらは難しい問題を提起することがある。
例えば2000年4月に、大阪府教育委員会は全国で初めて、高校ごとの停学・退学などの懲戒件数や理由を公開したが、数字のみが一人歩きをすることにより高校に対する一方的なイメージが形成されることの懸念が表明されていた。