「自律性」とは、「外部からの制御から脱して自身の立てた規範に従って行動すること」「自分で自分の行為を規制すること」(『広辞苑第三版』)といわれる。
このような考え方を学校にあてはめた場合、学校が教育活動を計画・実施する単位組織体として、当該学校の教育目標を独自に設定し、それを効果的に実現するための方策・方法を自ら選択して実施し、その実現状況を自ら把握・診断するという過程を組織内部に機能させ、自己の教育活動を継続的に改善していくことができる状態、だということができる。これが、「学校の自律性」である。
地方分権・規制緩和は、学校裁量権限の拡大を進めている。それは制度上の権限と責任を学校へ移行し、学校のアカウンタビリティの明確化を通じて学校教育の質的改善を図ろうとするものである。しかし、それがただちに「学校の自律性」の確立を意味するわけではない。
「学校の自律性」が確立するということは、個々の学校組織内部において、達成すべき教育目標を独自の文脈のもとに設定し、そのための効果的な方策を吟味して実行しつつ、さらにその質的改善を図っていくという組織内作用が定着しているということである。