学校を出てからも親と同居し、基礎的生活条件を親に依存している未婚者をさすパラサイト・シングルという造語が広まったが、そのような若者を生み出す家族をパラサイト家族という。パラサイト・シングルとは、生育家庭を生活の基盤とし、自分を社会に十分つなぐことのできない若者のことである。
そうした若者を生み出すパラサイト家族の蔓延は、子育ての私事化の進展、そうした流れの中でもたらされた現代の子育てにおける公共性の欠如によるところが大なのではないかと考えられる。
そこには、子どもが社会につながっていけるようにその発達を支援する機能、いわばエリクソンが成人期中期の課題としてあげた世代性が現代の親の中に十分に育っていかないことが関係していると考えられる。パラサイト家族の蔓延は、親機能の問題、つぎの世代を一人前に育てる世代性の発達の問題につながっている。