学校のアカウンタビリティ

「アカウンタビリティ」はもともと、ある事業を実施する者が、そのために託された資金を目的どおり適正かつ有効に執行したという事実を説明できること、またはその責任を指す。

最近では、公共性の高い事業や専門性の高い仕事に従事する組織または個人が、一般の人々から委ねられた使命や目的に基づいて有効かつ適切に成果を生み出す責任を意味している。教育事業の公共性と専門性を考えれば、学校に「アカウンタビリティ」が要請されることは当然といえよう。

「学校の説明責任」と訳されるのが一般的だが、そのような紋切り型の邦訳には慎重でありたい。医療分野の「インフォームド・コンセント」(説明と同意に基づく治療の責任)も、経済・金融でのディスクロージャー(情報公開)も、責任の所在を「説明される側」「自己責任」に委ねることを前提とした概念である。また、それらの関連情報の多くは客観性の高い数値情報である。

それに対して学校教育の場合、客観的な数値で説明できない情報が大半を占め、一度や二度の「説明」行為で相手の理解や合意が得られるとは限らないし、それによって責任の所在が移動するわけでもない。むしろ絶えずコミュニケーションを続けることが必要で、コミュニケーションそのものが、教育行為と切り離しがたく結びついている。

よって「学校のアカウンタビリティ」は、学校が子ども、保護者、地域の人々との間で双方向コミュニケーションを続けつつ教育の改善に取り組む責任、と理解されるべきである。

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