特色ある学校づくりは、1996年の第15期中央教育審議会第一次答申によって提唱され、1998年の教育課程審議会答申で「各学校において創意工夫を生かした特色ある教育課程を編成・実施し、特色ある学校づくりを進めていくことが特に求められる」とされた。学習指導要領においても、各学校が創意工夫を生かし、特色ある教育活動を展開することが繰り返し強調されている。
特色ある学校づくりは、学校が地域や子どもの実態に応じながら、創意工夫を生かした教育活動を行うことであり、その中核になるのが教育課程である。教育課程の内容面では、たとえば総合的な学習の時間で地域の環境や資源を生かしたり、単位時間を工夫したり、子どもの特質や課題に応じた選択教科を設定したりすることが考えられる。また、教育課程の編成を中心とする学校での意思決定に保護者や地域の意思を取り込んでいくことも課題となるだろう。
学習組織・集団の編成では、少人数学級や少人数学習集団の編成、習熟度別学習集団の編成、異年齢集団編成、などの工夫ができる。それに対応して、指導組織の面でもティーム・ティーチングや小学校での教科担任制などの様々な協力指導の工夫が可能である。
高等学校では単位制や総合学科など、制度的にも多様な選択肢があり、特色ある学校づくりの道が大きく開かれている。
近年、学校に対する規制緩和が進んでおり、特色ある学校づくりの可能性は拡大されている。その可能性を生かしていくには、学校が組織として主体性を持ち、環境の変化や特質を敏感に捉えるとともに、学校の内部に多様なアイディアを保持し、それを活用していく体制にあることが必要である。