通過儀礼

入学、成人、就職、結婚など、人生にはさまざまな節目がある。そうした人生上の節目においては、それ以前とそれ以後の社会的役割は大きく異なる。それまでの行動様式を捨て去り、新たな社会的役割にふさわしい行動様式を身につけなければならない。

それまでの社会的役割から新たな社会的役割への移行をスムーズにさせるため、大きく心を揺さぶることで心の世界の再体制化を促し、新たな社会的地位への自覚を促すための儀礼が通過儀礼である。

成人式の形骸化が話題になるが、現代においては、七五三にしても各学校段階での卒業式にしても、通過儀礼としての機能はほとんど果たしていない。社会の変動が激しい今日、従来の通過儀礼が今の時代の人生移行にそぐわないといった事情があるものと思われるが、子どもたちの適応上の困難のいくばくかは現代にふさわしい通過儀礼の欠如によるものなのではないかと考えられる。

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