教員不足で授業が受けられない 小学校の保護者に教員免許保持者の紹介を依頼

東京都の小学校において、教員不足から教員免許状を持つ人を紹介してほしいと保護者に対して依頼があったとのことです。

学校が直接、それも保護者に依頼をするといったことは聞いたことがありません。

普通は教育委員会、もしくは文部科学省が動くべきことです。

そのようなことは当然学校現場もわかっていると思います。それでも今回のような事態になったのは、「それだけ現場は人材確保にひっ迫している」ということでしょう。

教育現場は縦社会 それでも動いた理由とは

教育現場は縦社会です。そのため人材を確保する際には、市町村の教育委員会が通常は動き、それに現場は従うものです。

当然今回の学校も教育委員会に対して、人材不足を訴えていたことでしょう。はじめから自分たちで人材確保には乗り出しません。縦社会ですから。

しかし周辺の小学校からも教員補充の要請が寄せられていたということです。つまり周りの小学校も人材不足で、教育委員会もそれに対応するように動いていたことでしょう。

しかし思うように人材の確保ができなかった。だからこそ小学校側で独自に動いたのではないかと想像しました。

教員不足で授業が受けられない・・・教育を受ける権利がある

教員不足で授業が受けられないことも現実問題として出てきているようです。

子どもには教育を受ける権利があります。それを提供できていない状況というのは非常にまずいことです。

だからこそ、今回の小学校のように追い込まれて自らが動いたのではないでしょうか。子どものことを思ってのことだと思うのです。

教育人材を確保できないのは誰の責任なのか

近年、教員になりたいという人材が減ってきてしまっています。

それにより、全国各地で教員不足が訴えられています。

では教育人材を確保できないのはだれの責任なのでしょうか?

これはいろいろな見方があると思います。

教員になりたくない理由

教員になりたいと思う人が減っている理由を調査したアンケートがあります。

それによると以下のようなことが原因となっているようです。

  • 長時間労働などの過酷な労働環境
  • 部活顧問など本業以外の業務が多い
  • 生活指導の必要な子どもが増えた
  • 保護者や地域住民への対応が負担
  • 教材研究ができないなど満足のいく授業ができない
  • 待遇(給料)が良くない
  • 教員の魅力が伝わっていない

https://youthconference.jp/wp/wp-content/uploads/2022/04/fa63de44232d08d37e0aa6e5672639cc.pdf
※日本若者協議会

これらの理由を見ると、原因の所在がそれぞれ異なるということがわかると思います。

学校が正しい・先生が正しいという時代であれば

一昔前は、「学校が正しい・先生が正しい」といった風潮が今よりも全然強かったと思います。

つまり今よりも先生は強い存在だったのです。すると上記した原因のいくつかは軽減されます。

真面目な人が多い

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「真面目」なこと自体は悪いことではありません。「真面目過ぎる人」が多いのです。

つまりすべての仕事を完ぺきにこなそう、子どもの成績を伸ばせるだけ伸ばそう、保護者と地域と連携して頑張ろう・・・。

よいことです。よいことなんですが、それは自分を少しずつ追い詰めてしまっていると思うのです。

宿題を出す=自分の仕事を増やす

たとえばですが、子どもの成績を上げたいと思って宿題を出すとします。

するとクラス全員(たとえば30人学級)に対して出すため、丸付けが30人分増えるということです。宿題を2つ出せばさらに2倍の丸付けが必要となります。

学生の頃は「あの先生、宿題ばっかり出して嫌い」と思っていたかもしれません。しかしそれは自分の仕事を量を自ら増やす行為を自分で行っているということなのです。生徒のことを思ってということがわかると思います。

生徒のことをどうでもよいと思っているのであれば、最低限の宿題を出していればよいのです。

「宿題をたくさん出す先生=生徒のことを思っている=真面目」

と考えられなくもないのではないでしょうか。

教員になりたくない理由に対して個人的な意見

教員になりたくない理由を見ましたが、どれもわかります。

しかし私自身、小学校で働いていましたがどれもとくに問題には感じませんでした。

それはある意味「不真面目だった」からだと思います。

  • 長時間労働などの過酷な労働環境
    就業時間は決まっています。ただ帰宅しない先生が多い、長時間勤務を美徳とする先生がいるだけです。無視して帰っても問題ありません。
  • 部活顧問など本業以外の業務が多い
    まず部活の顧問は断ることは可能です。ただ縦社会の中で断るのはかなり強い心臓が必要かもしれません。部活の顧問がメインの仕事を圧迫するようであれば、部活に適度に参加する程度でよいです。また業務内容によっては、授業中でも進めることができます。授業中は授業に集中するべきかもしれませんが、それが真面目といわれる所以です。生徒の成績を上げていれば文句は言われません。
  • 生活指導の必要な子どもが増えた
    これはどうでしょう。地域差もあるかもしれません。一昔前の方が生活指導が大変だったと思います。生活指導は大切ですが、何をするのか、どのようになるのかは生徒次第です。ある程度のところで線引きをする必要があると思います。
  • 保護者や地域住民への対応が負担
    学校にものをいう人は多くなったと思います。そしてそれを丁寧に受け入れる先生が多くなったとも思います。先生には強く言っても返されない・・・と思っている人は一定数います。おかしいと思ったら言い返せばよいのです。
  • 教材研究ができないなど満足のいく授業ができない
    100点満点の授業は存在しません。自分が完ぺきと思った授業もそれは自己満足に過ぎません。自分の授業を録画して10年後見てみてください。全然だと思うと思います。繰り返しますが100点満点の授業はありません。よって教材研究は要点だけを抑えればよいと思います。
  • 待遇(給料)が良くない
    先生は地方公務員です。公務員の給料は決して悪くはありません。年休(有給)もありますし、各種手当もあります。世の中にはもっと待遇が悪い職場は山ほどあります。しかしそれでも待遇が悪いと感じているのなら、待遇のよい職場を探す方がよいでしょう。
  • 教員の魅力が伝わっていない
    現在は教員の魅力が伝わるどころか大変さだけが伝わるようになってしまっています。メディアでも教育現場の問題ばかりを報道しています。負のループだと思います。教員の魅力を伝えるためには、まず自分が学生のときに毎日見ている先生たちが楽しそうに働く姿を見せる必要があるでしょう。そのためには働いている先生の労働環境が良くなる必要があります。

よい意味で不真面目になったほうがよい

先生という仕事は楽しいです。とてもやりがいがあります。これは間違いありません。

しかし終わりのない世界です。どんなに頑張ったとしても生徒全員を東京大学に行かせられるような学力にすることはできませんし、オリンピックに出場させられるような運動指導もできません。

結局は自己満足の世界です。

このようなことをいうと怒られてしまうかもしれませんが、私はそう思います。

まず先生という仕事を楽しんでください。それだけ魅力のある仕事です。そのためには良い意味でも不真面目になることだと思います。

授業中に丸付け 定時に帰宅

私は宿題の丸付けを授業中の隙間時間にしていました。

もちろん授業はしっかり行います。しかし隙間時間はできるものなのです。いや、作るのです。

工夫次第で定時までにクラスの仕事を終えることは可能です。たまに残業することもありましたが、それでも1時間程度です。

厄介なのが分掌です。学校の規模によっては複数の分掌を任されることもあるでしょう。ただしそれも、ある程度のレベルで終わらせてしまえばよいです。

校長や教頭によっては無理に仕事をさせようとしてくる人もいるかもしれません。しかし今のご時世、逆にこちら側が権利を主張すれば、無理なことはなかなか言いづらいことでしょう。

教員不足という現状をある意味逆手に取ることで、かなり自由に仕事ができる時代だと思います。

繰り返します。

真面目になりすぎないでください。不真面目なくらいがちょうどよいです。ただし仕事をいい加減にしろというわけではありません。

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