家族は個々の家族メンバー同士の相互関係により成り立っている生きたシステムであるとみなすもの。特定の子どもに何らかの問題行動が生じた場合、たまたまその特定の個人において問題が表面化したけれども、その問題の根はその個人ではなく家族という全体としてのシステムにあるとみなす。
母子関係、父子関係、夫婦関係、兄弟関係、祖父母との関係、祖母と母親との関係など個々の家族メンバー同士の関係性を検討し、それをもとに家族システム全体を変えることで解決しようとするのである。
また、母親の養育態度が子どもに影響するというような一方向の因果の流れを想定せず、双方向の因果の流れ、円環的な因果の流れを想定する。たとえば、子どもの個性が母親の養育態度に影響するといった方向も想定する。
さらには、目的論的な見方もとる。たとえば、子どもに生じた問題行動の背後には夫婦関係の希薄さや父親役割の欠如があり、子どもの問題行動の出現によって夫婦が密なコミュニケーションをとったり、父親が父親らしく振る舞うようになったりした場合、その問題行動には歪んだ家族システムを健全な方向に向けて変革する意味があったとみなすのである。