子どもの権利条約

子どもの権利宣言30周年、国際児童年10周年にあたる1989年に国際連合で採択された子どもの権利の保障を目的とする条約。日本も1994年に158番目の締約国となった。

前文では、子どもは特別のケアおよび援助を受ける資格があることがうたわれている。

本文では、福祉など子どもの最善の利益の確保、親からの分離禁止、意見表明権、表現や情報発信・受信の自由、思想や宗教の自由、プライバシーの保護、親の第一次的養育責任とそのための国の援助、親による虐待・放任・搾取からの保護、家庭環境を奪われた子どもの保護、障害児の権利、健康・医療への権利、社会保障への権利、生活水準確保の権利、義務教育をはじめとする教育を受ける権利、経済的搾取や有害労働からの保護、麻薬・向精神薬からの保護、性的搾取・性的虐待からの保護、誘拐・売買・取り引きの禁止、死刑・拷問の禁止、傷ついた子どもの心身の回復と社会復帰の促進、少年司法の留意事項などが定められている。

議論の余地のない条項が大半であるが、各条項の文意をどう読み取るかは自由度が高く、そこに運用の仕方の難しさもある。たとえば、子どもの意見表明権の場合、子どもの権利擁護論と子どものわがまま助長論が対立するなど、しつけや教育との関係でどう受け止めるかが問題となる。こうした権利条項に関しては、それぞれの文化状況や歴史的背景などを十分配慮した上で運用していく必要がある。

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