近年の公立学校における学校選択制度の導入は、学校教育への市場原理の導入による学校教育の活性化を目的としている。従来、公立学校の教師は選ばれたり、選択されることはなかった。身分の保障もあった。しかし、それによって、教師の意識は、教育の変革に対して保守的となる傾向があった。保護者や住民によって選ばれる学校の出現によって、こうした教師の意識はいやおうなく変革を迫られている。
すなわち、第1に、学校教育も、「消費者」としての子ども・保護者・住民への公的なサービスととらえ、彼らのニーズを満たすことが、従来以上に学校と教師に求められている。第2に、そのためには、教育の結果責任と説明責任が学校と教師に具体的に求められることになる。第3に、教師は競争状態の中におかれることになり、さまざまな形での「評価」が、常に行われることになる。
このような学校をめぐる変革をどのように受け止めるかについては、賛否両論がある。教師や学校の競争が行き過ぎると弊害はあるだろうが、しかし、少なくとも、教師が教育のプロとしての責任を自覚し、教育は子どものためにあるとの認識に立って、子どもの立場に立った教育実践を一層充実させる契機としてとらえる必要はあるだろう。