教室内の教員と児童生徒との間で展開される教授・学習活動の質が、学校組織の文化的要因(組織文化)によって重要な影響を受けていると考える立場から、近年では校長のリーダーシップのあり方として、「文化的リーダーシップ」論が注目されている。
それは、学校の中で共有されている価値や規範に着目し、それを形成したり維持したりつくりかえたりするという側面での校長のリーダーシップを重視しようとする。単純な指示・命令や紙に書かれた目標・指針などが成員の行動を左右するのではなく、組織の深層にある価値や規範こそがそれらに影響を及ぼしているという前提認識が、そこにはある。
したがって文化的リーダーシップは、リーダー(行為者)とフォロアー(受け手)との関係を相互影響過程から捉え、非統制的なものと考える。そうした過程のなかで、各教職員が主体性に基づいて組織目標を共有し、その実現に努める態勢をつくろうとする。組織目標のあいまいさや成員の独立性の高さなどという学校組織の特性を踏まえるとき、学校としての教育ビジョンや信念の練り上げ過程そのものを重視しようとするこの種のリーダーシップ論は重要である。