組織構成員の間で共有・形成・保持され、組織内部における各自の判断や行動に重要な影響を及ぼしている価値・規範・思考・行動様式の体系を指して組織文化という。
たとえば同じような条件をもつ学校であっても、教職員と児童生徒の間で共有されている価値観や思考様式は異なる。同じような問題に直面したとしても、教員の判断や学校としての意思決定内容は、組織に応じて違ってくる。そうした学校による違いの背景には、成員間に共有された目に見えない「文化」があると説明される。
組織文化は、いくつかの層を成していると考えられる。もっとも表層にあって見えやすいものは「人工物」といわれ、施設設備や制服などがそれにあたる。次の層は「価値」といわれ、学校の教育方針や生徒指導指針など、教職員や生徒の判断と行動を規定する規範・価値基準である。そしてもっとも深層にあるのが、個々の成員が意識していないけれども学校に対して抱いている認識としての「基本的前提」である。たとえば、「教員はどうあるべきか」「この学校の生徒はどんな実態か」などに対する基本認識である。
共通目的があいまいで構成員の独立性が高いなどの特性をもつ学校組織がその活動に一定の統合性をもち、秩序を保持することは、組織文化という概念で説明できる。「よい学校」と「よくない学校」の違いも、組織文化の違いとして語られる。だが学校経営にとって最も重要なことは、「組織文化は変えられる」と考えることである。