コミュニティ・スクール論

第二次世界大戦後の日本でコミュニティ・スクール運動と呼ばれる学校改革・地域改革の運動が起きた。そこでは、地域社会の課題を学校教育の中心にすえ、地域の諸資源を学校教育に利用するとともに、学校の保有する諸資源を地域社会に開放することを通じて、書籍中心、教科中心の学校を生活中心の学校に転換し、同時に地域社会を改良することが目指された。

もともと1930年代のアメリカで発達した考え方が第二次世界大戦後の教育改革の中で日本に紹介、導入されたものである。日本でもいくつかの地域で実践されたが、1950年代に入ると衰退した。近年の教育改革の中で、学校と地域の連携、開かれた学校づくりが課題とされ、改めてその重要性が注目されるようになった。

しかし、コミュニティ・スクールは最近ではそのような従来の意味とは若干異なる意味で用いられている。2000年の教育改革国民会議報告では、「地域独自のニーズに基づき、地域が運営に参画する新しいタイプの公立学校」がコミュニティ・スクールと呼ばれている。それは、新しいタイプの学校設置を可能とし、多様な教育機会を提供するという文脈に位置づけられている。

金子郁容らはコミュニティ・スクールの制度的な特徴を次の三点にまとめている。

  1. 意欲ある個人ないし有志グループの学校を作りたいという意思から出発すること
  2. 校長に人事推薦権があること
  3. 学校の経営や教育内容をチェックし、校長が推薦した教員人事を承認し、教育の質を担保し、成果を評価するための地域学校協議会がコミュニティ・スクールごとに設置されること

公立学校でありながら従来のように教育委員会が管理するのではなく、学校協議会を通じて保護者や地域住民が直接に管理・経営に関わる学校がコミュニティ・スクールと呼ばれているのである。

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