働きながら教員免許を取得することはできます。つまり社会人になってからでも学校の先生になることは可能なのです。
ただし正直に言うと、「働きながらなんて無理では?」と感じる瞬間は何度もありました。
結論から言うと、働きながら教員免許を取る上で考えるべきことは勉強時間よりも必ず参加しなければならない「実習(教育実習・介護等体験)」に合わせ、働き方そのものを見つめ直す必要があるということです。
まず私自身の話ですが、私は仕事を続けながら教員免許を取り実際に担任として教壇にも立ちました。
ただし簡単かというとそんなことはありませんでした。それは免許取得までに2年半かかったわけですから。
ここでは「成功体験」よりも、どこがキツくて、どこで詰みかけて、どう立て直したかを正直に書きます。
- 仕事を続けながら通信大学で教員免許を取得(約2年半)
- 一番キツかったのは「教育実習」
- やり方を間違えると途中で心が折れるかも
私は4年制大学を卒業した後、25歳から小学校教員を目指し通信大学で勉強をはじめました。そして27歳で小学校教員免許を取得しました。
教員免許を取得するのに要した時間は約2年半です。
教員免許を取得する上で、私が下した最大の決断は「働き方を実習に合わせる」ことでした。
具体的には、正社員という立場を捨てあえて「アルバイト(時間講師)」を選びました。「教育実習で4週間は休む」という最大の壁をクリアするための私なりの考えでした。
通信大学は文部科学省でも認められた大学であり、そこで取れる免許や資格は正規のものです。事実私は取得した教員免許を利用して、28歳より小学校で担任として勤務していました。
社会人になってからでは先生になれないと思っている人もいるようです。しかしそれは違います。多くの社会人が通信大学で教員免許を取得するために勉強しています。
そこで今回は「社会人として働きながら通信大学で教員免許を取得するに至った私の動機」に焦点を当ててお話ししていきます。
通信大学での教員免許の取り方については、「通信大学で教員免許を取得 通信大学で人生を変えられる」を参照してみてください。
- 社会人として働きながら通信大学で教員免許を2年半かけて取得しました。
- 教員免許を取得後、小学校でクラス担任として勤務することができました。
- 学校で働いていたため収入が安定し生活が助けられました。
- 教員免許を取得することのできる通信大学は意外とたくさんあります。
通信大学で教員免許を取得した2つの理由
私が通信大学で教員免許を取得しようと思った理由を紹介します。
理由は2つあります。
1つは、小学校でアルバイト(支援委員というもの)をした経験の中で、子どもに触れ合う仕事がよいと思う気持ちが高まったため。
そしてもう1つは、仕事をしながらでもスキルアップをしたかったた、つまり手に職を付けたかったためです。
仕事への満足感が足りなく感じた
私が本格的に教員を目指し始めたのは、小学校でのアルバイトを終えた後、学習塾で講師をはじめたときのことでした。
この学習塾で仕事をはじめたのも、小学校でのアルバイトがきっかけといえます。
学習塾での仕事は非常にやりがいがあり面白かったです。しかし「満足しているか?」というと、どこか物足りなさを感じていました。
また、塾で仕事をする中で学校での教育に対しての興味が大きくなったということがありました。
私のように何かしらの仕事をしながら「別の何かを目指したい」と頭の片隅で考えている人は意外に多いのではないでしょうか。
塾の先生は教員免許は不要 持っていない人も沢山
塾の講師を行う上で教員免許は不要です。
教員免許は不要ではあるのですが、それを持たない自分に疑問と不安を感じていたのです。ちなみに同僚の中には教員免許を持っている人もいました。
塾で働いている中で、「教員免許を取得することで、教育に対しての見方が変わってくるかも」という思いと、「学校ではどのような教育をしているのだろう。働いてみたい。」という思いが浮かんできました。
教育関係の仕事をしていく中で、教員免許を取得するための動機が複数存在するようになっていったのです。
このようなこともあり、社会人として働きながらでも教員免許を取得することができる通信大学に入学することに決めたのです。
保護者の中には気にする人もいた
塾講師をしながら家庭教師の仕事もしていました。
そのときの話ですが、ある保護者が私の教員免許の有無を気にする発言をしました。
塾においても、「教える仕事をしているのだから教員免許を持っているはず」と思い込んでいる保護者が少数ながらいました。仲の良い保護者との他愛のない会話の中でも「先生は何の教員免許を持っていらっしゃるのですか?」と聞かれることもありました。
嘘を付く必要もないため「教員免許は持っていませんよ」と答えると「え?そうなんですか?知らなかった。塾の先生は持っているとばかり思っていました。」と言われたことがあります。
結果として塾生が辞めてしまうとか、何かしらの問題に発展することはありませんでした。
とはいえ、「塾の先生なら教員免許を持っている」と思い込んでいる保護者はいるのだという事実が気になり続けていた自分がいたのでした。
免許所持と生徒の成績を上げるのは関係ないが・・・
塾の目的は成績を上げることであり、成績さえ上げられれば保護者から何かを言われることはありません。
幸い、成績は上手く上げられていたのですが、もし私が成績を上げられず逆に落とすようなことをしていたら「教員免許を持っていないからだ!」とクレームが来たかもしれません。推測ですけど。
このような思いもあったため、そして自分のスキルアップのため通信大学で教員免許を取得することを決めたのです。
ただしここで1つの壁にぶつかります。「働きながら免許を取りたいが、教育実習の期間はどうやって仕事を休めばいいのか?」という現実的な問題です。
私の戦略 実習を見越して「あえてアルバイト」を選び2年半で取得
社会人として塾で働きながら、通信大学で教員免許の取得を開始しました。
実は学習塾で働く前に、小学校でアルバイトをしていたことがありました。その経験も教員を目指そうと思ったきっかけにはなっています。
その際に年配の先生から「通信大学で教員免許を取ることができる」といった内容の話を聞いたのです。
それまでは通信大学の存在も知りませんでしたし、まして社会人になってから先生になれるなんて思ってもいなかったのです。
生活が落ち着いてきて時間が取れるようになった
学習塾で講師としての生活に慣れ始めたころ、「今が通信教育を始める時だ」と思い、通信大学での教員免許の取得方法を調べ始めました。
結果として選んだのは「明星大学」でした。
ちなみにですが、その当時の塾での立ち位置は時間講師というものであり、いわゆるアルバイトでした。
だからこそ比較的時間を自由に使うことができ、勉強時間を確保しやすかったのです。
2年半で小学校教員免許を取得
通信大学で勉強し始めてから2年半の時間を要し、小学校の教員免許を取得することができました。
実習に参加している間は、塾の授業を休みにさせてもらい、後日まとめて他の日に授業を行いました。その辺りの融通が利いたというのも良かった点です。
この融通が利いた背景には、正社員ではなくアルバイトでシフト調整できる働き方にしていたことがあります。
働きながらでも通信教育で免許を取ってみてよかった
結論として、働きながら大変ではありましたが教員免許を取って良かったと思います。
通信大学での勉強は基本的には在宅学習であり、一人で勉強を進めていきます。勉強の管理はすべて自分で行うということです。
これは人によって分かれるかとは思うのですが、私としてはそれほど苦痛には感じませんでした。
通信大学の勉強が苦痛ということはなかった
通信大学での勉強が苦痛と感じることはそれほどありませんでした。
レポートの制作、そして科目試験の勉強は、通信大学から送られてくる教科書をある程度読みさえしてさえいればそれほど難しいものではなかったためです。
参照 通信大学での単位の取り方 レポート・試験・スクーリングで単位修得
そして基本的に1日1時間~2時間程度、レポート作成や勉強に時間を割く程度だった、塾の講師の仕事とも両立でき、実習以外で仕事への影響が出ることもありませんでした。
当時の私の平日のタイムスケジュールは以下のようなイメージです。隙間時間と夜の時間を活用していました。
| 12:00 | 起床・出勤準備 |
|---|---|
| 15:00-20:00 | 仕事(塾講師のアルバイト) |
| 21:00-23:00 | 帰宅・夕食・入浴 |
| 23:00-1:00 | 【勉強】レポート作成・試験対策(2時間) |
| 4:00 | 就寝 |
「たった2時間?」と思われるかもしれませんが、大体そのくらいです。ただこれを2年半ほぼ毎日続けていました。短い時間でも継続することが働きながら免許を取る秘訣だと思います。
恐らくですが、他の仕事をしていたとしてもこのくらいの勉強時間を確保することはできるかと思います。ただしそれが難しいという人は、時間を確保できるようになってから通信大学への入学を考えたほうがよいかもしれません。
実習科目が一番の弊害になる可能性がある
働きながら教員免許を取る上で一番の弊害となるのはおそらく「実習科目」です。
実習科目は必ず参加しなければならない必須科目です。働きながら教員免許を取る上では、勉強を頑張るということよりも「休める前提の働き方に変える、もしくは環境にする」ということが重要となってくると思います。
正社員のままでは、4週間の連続休暇を交渉するのは至難の業です。休職制度が使えなければ、最悪の場合「退職」という選択肢も考えられます。
私が冒頭でお伝えした「あえてアルバイトを選んだ」という戦略は、まさにこのリスクを回避するためでした。
実際に私の周りの社会人学生がは以下の3パターンのいずれかが多かったです。
| パターン | メリット | デメリット | 難易度 |
|---|---|---|---|
| ① 正社員のまま休職 | キャリア・収入が途絶えない | 職場の理解が必須。 4週間の休みは交渉難航の可能性大。 |
高 |
| ② 退職して実習へ | 実習・採用試験に集中できる | 収入がゼロになる。 | 中 |
| ③ 非正規 (私の戦略) |
実習の休みが取りやすい。 勉強時間も確保しやすい。 |
正社員より年収は下がる。 | 低 |
私の場合は小学校教員免許状を希望していたため、連続4週間の小学校に実習が必要でした。そのため時間の融通が利くアルバイトという選択をしたのです。
また介護実習も5日間連続+2日間連続行く必要があります。
継続的な勉強が苦手では通信大学での勉強は難しいかも
私は1日1時間~2時間の勉強を基本的には毎日続けました。
週末には5時間前後は教員免許のための勉強をしていました。たまに面倒と思い休みを入れることもありましたが、基本的には継続的に勉強をするようにしていました。
もし継続的な勉強が行うことが苦手という人は、通信大学での勉強は向かないかもしれません。
自分の管理を行えないと通信大学での勉強は難しい
自分で自分のことを管理することが苦手な人も、通信大学での勉強は難しいかもしれません。
小学校や中学校、高校などでの学生時代、学校に行ってさえいれば何を勉強するのか、どの宿題をし、いつ提出するのかなど、周りの動きに合わせていればなんとなくでも進級することができました。
ところが通信大学の場合、学校に直接行くわけではないですし、周りの人がいるわけではありません。自分の勉強の管理は自分で行わなければなりません。これが意外と難しいという人が多いと思うのです。
教員免許を持っていたことで金銭面で助けられた
通信大学で教員免許を取得したことで、すぐに私は助けられることになります。それは金銭面での話です。
学習塾で時間講師から正式に正社員として採用になり働くことになりました。しかし給料がビックリするくらい低く、とても生活できるレベルではありませんでした。
その当時結婚したばかりで、毎月の給料が手取りで15万円とかなりきつい生活を強いられることになってしまったのです。
「流石に長くはこの仕事を続けていられない・・・。」
そう思い、近隣の市町村の教育委員会に講師登録をしに行きました。
講師登録をしてすぐに声がかかった
教育委員会に講師登録をすると、さっそく次の日に連絡がありました。
「講師をお願いしたいのですがよろしいですか?」と言われました。
講師登録を行った最大の理由はお金だったので、給料の質問をさせてもらいました。
すると、
「経験によっても異なるのですが、少なくても20万円以上は貰えますよ。」
という返事が。最低でも5万円も今よりお給料がアップするのです。断る理由がありません。
「よろしくお願いします!」
ここから一気に人生が動き出しました。
すぐに塾を辞め学校に勤務することとなりました。
給料が増え賞与をもらえるようになった
お給料も聞いていた話よりさらに大きな金額を貰えるようになりました。うる覚えですが、手取りで22万円前後でした。
塾で働いていた時よりも毎月7万円給与が増えたのです。
さらに賞与ももらえるようになりました。1年間で4.5ヵ月分(2ヵ月+2.5ヵ月)ですので、通常の給与+賞与で60万円ほどの振り込みとなったのです。(正確な入金額は覚えていないのですが、大体このくらいです。)
明細をはじめに渡されるのですが、金額を見て思わずニヤっとしてしまったのを今でも覚えています。
贅沢するレベルではありませんが、普通の生活を送れるようになりました。
これも社会人になってから通信大学で教員免許を取ったおかげです。まさか教員免許に人生を助けられるとは思ってもみませんでした。
大変ではありましたが働きながら教員免許を取得してよかったと思いました。
教員免許を取得することのできる通信大学は複数ありチャンスはいつでもある
以上のように、私は働きながら教員免許を取得し学校で働いていました。
働きながら勉強するということは人によっては難しいと思うかもしれません。
しかしその当時私には、教員免許を取ることだけが目標であり将来の希望でもありました。結果として取得してよかったと思っています。
通信大学で教員免許を取っている人は非常に多い
私の場合は通信大学で小学校教員免許を取得しましたが、同じような人は非常にたくさんいます。
それを身をもって実感したのは、大学にスクーリングに行ったときのことです。本当にたくさんの人が複数の教室、食堂、キャンパスにいたのです。
数千人単位の学生を抱える通信大学も
通信大学は数多くあり、その中には数千人規模の学生を抱える通信大学もあります。
たとえば主に教員免許を取ることのできる関東最大級の通信大学である明星大学には、在籍学生数が5000人を超えていました。同じように関西最大級の佛教大学には、在籍学生数が8000人を超えていました。
通信大学で取れるのは教員免許だけではありません。さまざまな資格が取れます。また大学卒業資格を取ることもできます。
そのためか調べてみると、日本最大級の学生数を誇るのは放送大学であり、その数は8万人以上。そして京都芸術大学は1.6万人以上とのことです。
非常に多くの学生が通信大学で勉強をしているのです。決して珍しいことではないのです。
通信大学で取得できる教員免許
通信大学では以下のような教員免許を取ることができます。
通信大学で取得できる資格
通信大学では以下ような資格を取ることができます。
ここで紹介している資格は一部であり、そのほかの資格も取得することができます。またさまざまな受験資格を得ることもできます。
参照 社会人が通信大学を選ぶ4つの理由 働く社会人におすすめな通信大学を紹介
まとめ 通信大学を選択してよかった
繰り返しますが、私は通信大学で教員免許を取って本当によかったと思っています。
もちろん日々の生活の中で勉強をする時間を確保する必要があるため大変にはなります。正直面倒と思うこともありました。
しかし教員免許を取得し小学校で働きはじめ、毎日のように小さな感動を生徒からもらった経験を味わうと、本当に教員免許を取ってよかったと思ったのでした。また収入面で安定したことも大きかったです。
最高の感動をもらった それが頻繁に起こる
小学校の先生をしていると、毎日のように感動をもらえました。
- 保護者から「先生は先生という職業が天職ですね」といわれた。
- 「こんな悪いクラス見たことがない」といわれるくらいのクラスが、「こんな良いクラス見たことがない」といわれるまでに。
- 学期末最後の授業で、「何か言っておきたいことある人」といったらある生徒が手を上げ「先生最高!」といってくれたこと。
こんな経験が山ほどあります。
大変ではあります。苦労することもあります。真剣に生徒と向き合う必要があります。
でもだからこそ、感動がたくさんあるんです。
こんな経験、普通の社会でできますか?
教員の経験が役に立っている
現在は教職から離れ会社の経営と学習塾の経営をしています。
学校で学んだことが会社経営にも学習塾にも活きています。
どのような人生を歩むのかは人それぞれですが、もし現状に不満を持っている、教えることに興味があるというのなら、通信大学で新しい一歩を踏み出してみてもよいと思います。
よくある質問
- 働きながら教員免許を取るのは本当に可能ですか?
-
可能です。実際に私が取りましたし周りにも同じ状況の人がたくさんいました。さらに中学校で働きながら通信大学で小学校の教員免許を取った先生も知っています。ただし大きな問題となるのが、実習科目(教育実習、介護等体験)です。連続で時間を確保する必要があるためです。私は最初から実習で休むことを想定していたため、正社員ではなくアルバイトとして働き、実習期に合わせて調整しやすい形を選びました。
- 通信大学で教員免許を取るときに教育実習は必要ですか?
-
教育実習は必修科目です。つまり避けられません。取得する免許にもよりますが、連続で2週間~4週間、教育実習に行く必要があります。分割していくことはできないため、働きながら目指す場合は「連続で休む前提」で計画を立てる必要があります。
- 働きながらだと勉強時間はどれくらい必要ですか?
-
人によって差はありますが、私の場合は平日は1日1~2時間を積み上げ、休日に不足分を補っていました。大事なのはコツコツ勉強をするといったルーティーンを作ることだと思います。
- 会社を辞めずに教育実習の連続期間を確保できない場合は、どうすればいいですか?
-
まずは実習時期の目安を把握した上で、職場に早めに相談することだと思います。それでも難しい場合は、有給だけで足りるか、欠勤扱いが可能か、休職制度が使えるかなど検討する必要があるかと思います。私のようにはじめから正社員という道を避ける方が、悩まずに済むかもしれません。
- 通信大学で教員免許を取るのに必要な期間はどのくらいですか?
-
最終学歴や取得したい教員免許の種類にもよりますが、4年制大学を卒業している人であれば最短2年です。レポート提出、試験、スクーリング、教育実習まで含めて逆算し、無理のない順序で進めることが大切です。私は自分のペースで勉強していたので2年半かかりました。
- 通信大学で教員免許を取る場合の学費の目安を教えてください。
-
大学によって違います。学費だけでなく、スクーリングの交通費や宿泊費などの実費が増えることもあります。まずは通信大学の学費を比較を参考にしてみてください。候補の大学は資料請求や大学への問い合わせで最新の費用を確認するのが確実です。






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