運動選手に教員特別免許状発行に批判殺到 特別免許状の要件には合致している

2024年9月、文部科学省は運動選手に特別免許状を発行し、少しでも教員不足を解消しようと動き出すといった内容の報道がありました。

内容としては、運動選手、とくにプロのアスリート、オリンピック出場選手などは高い専門性を持っているため、そういった人たちに特別免許状を出すことを促しているといったものです。

これに対し、いろいろな意見が飛び交っています。

  • オリンピック選手がなぜ対象となるのか?
  • 元オリンピック選手の国会議員を見てもよくない人がいる
  • 大学で勉強をしてやっと手に入れる免許を簡単に手に入れるのはどうか?
  • 人材不足の解消は待遇面を解消することが先決

いろいろな意見があるようです。

これに関してまず2024時点の現実をお伝えした後に、当サイトの考え方をお話ししたいと思います。

採用試験では加点される動きは始まっている

実はスポーツ選手であったことが加点される教員採用試験は、全国ではじまっています。

たとえばある県の保健体育の教員採用(中学・高校)では、

国際レベルの大会(オリンピック大会、アジア大会等)に日本代表として出場した者、又は日本選手権大会あるいはこれに準ずる大会において優秀な成績を収めた者。

に対し、「第1次試験の全て又は教職・一般教養試験」としています。

またある県では、

小学校教員、中学校教員又は高等学校教員を志願する者のうち、スポーツの分野で次のいずれかに該当すると認められるもの(高等学校卒業後の実績に限る。)。ただし、対象となる競技は国民体育大会(冬季大会を含
む。)の正式競技、公開競技及び野球とする(重複して願い出た場合は、評価点の高い一項目で加点する。)。
ア 平成25年4月1日以降に、国際競技大会(オリンピック競技大会、世界選手権大会、アジア競技大会及びこれらと同等の国際的な規模のスポーツの競技会をいう。)に日本代表として選ばれた者 【100点】
イ 平成25年4月1日以降に、全国大会(国民体育大会、全日本選手権大会、全日本実業団選手権大会、全日本学生選手権大会及びこれらと同等の全国的な規模のスポーツの競技会をいう。以下同じ。)において選手として出場し、8位以内に入賞したこと。 【50点】
ウ 平成25年4月1日以降に、全国大会において選手として出場したこと。 【30点】

となっています。

つまり現在でも、運動において高い実績を持っている人は教員採用試験では大幅な加点がされているということです。

教員採用試験で有利となる資格や実績 加点制度をうまく利用し合格率をアップ | 教員免許navi
教員採用試験で有利となる資格や実績を紹介しています。加点制度をうまく利用することで持っている資格や実績が採用試験の点数に加点されます。合格率をアップさせることが可能となるのです。

特別免許状の要件は高い専門性と

特別免許状の要件は以下のようになっています。

特別免許状は、教員免許状を持たないが優れた知識経験等を有する社会人等を教師として迎え 入れることにより、学校教育の多様化への対応や、その活性化を図ること目的として都道府県教育委員会が授与する免許状です。

参照 特別免許状及び特別非常勤講師制度について

 

つまり「担当する教科に対し高い専門的な知識や技術があり、経験を持っている場合、教職員検定に合格すれば特別免許を渡す」ということです。

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よって今回のニュースは、特別免許状の趣旨から大きくズレていることではありません。

とはいえ、さまざまな意見があるのは理解ができます。

ここからは当サイトの見解をお話ししていきたいと思います。

教員不足の本質的な解決をするべき

あらゆる方法で教員の確保を考えるのは理解できますが、それ以前に本質的な問題を解決したほうがよいと思います。

これがすべてです。

なぜ教員不足という事態に陥ってしまっているのか?それは学校の労働環境と、そこで働く先生方の性格によるものだと思います。

真面目がゆえに大変になり人手が集まらない

これに関しては当サイト内でも何度もお話をしてきています。

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一般の会社と教員経験を持つ私からするとですが、確かに学校の仕事は大変です。ただし一般の一部の企業に比べればもっと大変な職場はあります。

ではなぜ人手不足になるのか。それは一言でまとめると「先生たちの多くが真面目である」ということだと思います。

  • 真面目だからこそ、子どもたちのために仕事をしすぎてしまう。
  • 真面目だからこそ上司のいうことを聞きすぎてしまう。
  • 真面目だからこそ、周りからよく見られようとしすぎてしまう。

これは本当に現場で感じたことです。

周りに真面目な人が多いと、新卒採用者もいつしか真面目になっていきます。

当サイト内でも繰り返していますが、真面目が悪いということではありません。しかし真面目過ぎることが問題だと思っています。良い意味でいい加減に手を抜いた方がよいと思っています。

世間の声にこたえてみる

では今回上がっている世間の声にこたえていきたいと思います。

  • オリンピック選手がなぜ対象となるのか?
    特別免許状の要件には合致しています。問題ないと思います。ただし教員の研修はある程度受けたほうがよいと思います。
  • 元オリンピック選手の国会議員を見てもよくない人がいる
    すでに先生になった人でも悪いことをしている人はいます。そしてニュースになっています。問題を起こさない人を採用することは現在のシステムでは難しいと思います。採用方法を大きく変更する必要があると思います。
  • 大学で勉強をしてやっと手に入れる免許を簡単に手に入れるのはどうか?
    オリンピックレベルの選手になるためには、違った分野でかなり努力をしています。教員免許を取るよりもはるかに多くの時間を費やしそのレベルに到達していると思います。
  • 人材不足の解消は待遇面を解消することが先決
    これは大きな原因の1つであり正論だと思います。

一定時間の研修と実習が必要だと思う

プロの運動選手に特別免許状を授与すること自体は問題ないと思います。

しかしこれは運動選手に限らず、一般の社会人に対しても教員免許状を授与してしまってもよいと思っています。

ただしある一定期間の研修は必要だと思います。たとえば通信大学で1年~2年、専門の勉強をし単位を取るとかです。そして教育実習も必須だと思います。

理由はいろいろありますが、学校の先生として働く覚悟を1年~2年勉強することで身に付けてもらいたいと思うためです。

教員免許を持っている=学校での働き方がわかるではない

実は教員免許を取ったからといって、学校の先生の何たるかを学ぶということはほとんどありません。

多くの先生は教員免許を取り採用試験に合格した段階では、教員の素人の状態です。現場に出て担当教員からいろいろ教えてもらい、多くの研修を受け、生徒と日々過ごすことで数年かけてプロの先生となっていきます。

ある人が「私は教員免許を持っている。だから教えるプロだ。」といっていた人がいましたが、それは違います。

免許を持っていなくても教えることが上手な人はいますし、その逆もしかりです。

たとえば塾の先生は教員免許を持つ必要はありません。実際に持っていない人も多いのですが、教えることは上手な人が多いです。

教員免許はきっかけ 問題はどのように教員として過ごすのか

このようなこともあり、教員免許というものは1つのきっかけにすぎません。

極論、誰に渡してもよいと思います。

問題は学校でしっかりと担当教員から指導を受け、研修を受け、数年間で教員として成長できるかどうかです。

勉強がそれほど得意でなかったとしても、良い先生になることは可能です。

ただしもしも授業があまりにもお粗末であったり、保護者から苦情が殺到したり、生徒に悪影響を与えたりするのであれば、その段階で研修のペナルティを与えるなどの処置をすればよいと思います。

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