文部科学省が小学校の英語の実施学年を、小学校3年生まで引き下げるという内容を検討していることを発表しました。そして、小学校5・6年生に関しては正式な教科にするとのことです。果たしてこれはよいことなのか?それともそうではないことなのでしょうか?
現在の小学校の英語教育
現在、小学校では年間35時間を「外国語活動」として必修化しています。必修化になったのは平成23年の事です。目的としては、外国語に慣れるという意味合いが強いようです。
ここ数年の動向を見ていても、文部科学省も英語教育に関しては試行錯誤しているのが伺えます。ただし、いくつか「?」なことがあるので、いかに定義します。
何を目指しているのか?
そもそも、小学校で英語を行うことで何を目指したいのかが問題です。グローバル社会のため、英語を身に付けることが非常に有益であることは周知の事実です。なので、早い段階で英語教育を取り入れるというのは理にかなっています。
ただ、ここで問題なのは「受験英語との整合性は?」です。
高校受験や大学受験の英語は、文法が中心です。リスニング問題もありますが、ほとんどが文法です。そのため、文法が出来なくては点数を稼ぐことは出来ません。なので小学校英語がどれだけ中学校、高校の英語の役に立つのかが非常に疑問です。
「英語は話せても文法が出来ない」、または、「文法が出来なくても話せる」という現象が起こります。
なので、受験英語をコミュニケーション中心とするのであれば、小学校でのコミュニケーション中心の英語教育の導入の意味は理解できます。
「小学校で英語に興味を持たせ、中学での文法英語への導入をスムーズにする」
そう言う意味合いを持っているのかもしれませんが、だとしても今の方法は成功しているとは言えません。なぜなら、子どもからすると、会話の英語と文法の英語は全く違ったものと捉えているためです。
授業の質を考える
英語教育を導入するのはよいことだとは思うのですが、ただ導入をすればよいわけではありません。「質の高い授業を展開しなければいけない」と思います。なぜなら質の高い授業を展開しないと、現在問題となっている「国語力の低下」と同じ現象が起こってくるためです。
「国語力が低下している中、英語を導入するのはいかがなものか?」という意見も聞かれそうですが、多少英語の授業が入ったくらいでそこまで他の教科に影響するとは思えません。国語力が低下しているのは、単純に授業の質に問題があるのでは?と感じてしまいます。
そしてこの「質」は、英語にも影響してくるのではないでしょうか。
今の状態で、そして、少ない授業時数の中で「質の高い英語教育」を提供できるのでしょうか。
まずは教師の質の向上を図らなければいけないと思います。「教える力のある教師」の育成、発掘が急務と言えます。
小学校3年生と言わず1年生からでもよいのでは?
小学校3年生から英語教育を導入ということですが、1年生からでもよいのではないでしょうか。授業としていきなり導入しなくても、朝の会や帰りの会で、少しでも英語に触れる機会を与えるだけでも違うと思います。
英語は言語であるため、なるべく幼いうちから慣れさせた方が、習熟度も高いと思われます。
最後に
英語の導入はよいことだと思います。ただし、中学・高校での英語と関連性を持たせた方がよいでしょう。また、小学校3年生と言わず、更に早い段階で導入してもよいと思います。そして、学校教育全体に言えることですが、教師の教える力の向上を実現してもらいたいと思います。
ちなみに教師も数多くの会議等で、授業案を練る時間や体を休ませる時間が減っています。その辺りの改善も同時にしていくべきでしょう。
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